【3月4日 AFP】生物有機体が雨や雪の形成において重要な役割を果たしているという研究が2月28日、米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 このような有機体とその水循環における重要性の発見は、天気予報の精度の向上や生物圏と気象の関係をより深く理解することに役立つと、研究チームは結論付けている。

 研究の主著者、ルイジアナ州立大学(Louisiana State University)のブレント・クリストナー(Brent Christner)氏は、将来的にはこの有機体を使って乾燥地帯にも雨を降らすことができるようになるかもしれないと指摘する。

 雲の中にあり、雨や雪の基になる氷晶がマイナス40度以上の温度帯で雨や雪になるためには、「氷核」と呼ばれる粒子の1種に付着する必要があることは以前から知られている。

 ところがクリストナー氏は、このプロセスに関与する最も活動的な粒子が生物だというこうとはいままで知られていなかったとし、「われわれが調査したすべての雪や氷の標本には生物学的氷核が含まれていた」と語る。

 生物学的氷核は約40年前、なぜ霜によって被害を受ける植物とそうでない植物があるのかを突き止めようとした科学者らによって、初めて発見された。

 研究者らは、霜害にあう植物は、マイナス2度程度で大気中の水分を捕らえて氷に変えることのできる植物病原細菌に覆われていることを発見した。一方、ちりやすすのような鉱物氷核は、マイナス10度程度を下回らないと水分を捕らえて凍らせることはできない。

「これは雲の温度帯が、無生物が活動せず生物学的氷核が活動する範囲にあることを意味する」とクリストナー氏は指摘する。

 研究チームは、どの程度の降水量がこの生物学的氷核で形成されるかについては特定していない。ただ、モンタナ(Montana)やフランスで採取された雪の方が、カナダ北部や南極大陸で採取されたものより生物学的氷核を多く含んでいることを突き止めたという。

 これらの粒子は、太陽の放射、または畑を耕したり植物を踏んだりしたときに舞い上がる土ぼこりによって放出され、風によって大気中に運ばれる。南極大陸の雪のサンプルからも見つかったことから、これらの粒子は相当長い距離を運ばれることもあると、クリストナー氏は指摘する。(c)AFP