【2月26日 AFP】両親としょっちゅうけんかをする10代の子どもの脳は、おっとりした子どもの脳とは構造がかなり異なるとするメルボルン大学(University of Melbourne)の研究結果が、25日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 研究チームは、10代前半の137人の脳の地図を作成し、宿題、インターネットや携帯電話の使用、就寝時間といったささいな事柄をめぐる両親とのけんかの様子を録画した。

 その結果、けんかっ早さと脳の各部位の大きさ・構造に相関関係があることがわかった。けんかっ早い子どもでは、感情の表出をつかさどる部位がかなり発達しており、感情を抑制する部位がその発達に追い付いていないという。

 幸いこうした発達速度の差異は、通常、脳の発達が終わる20代半ばまでに解消される。

 それまでの明るさが消えて急にむっつりと神経質な子に変わってしまったわが子に頭を悩ませる親たちにとって、こうした結論は心休まるものであるに違いない。

 研究に参加したニコラス・アレン(Nicholas Allen)氏は、「(けんかっ早さは)必ずしも性格異常から来るものではない、極めて重要な生物学的変化を遂げているためだという説明に、親は胸をなでおろすだろう」とした上で、「とはいえその背景には、親との交流不足、子ども自身の怠惰な性格や責任感の不足といった問題がある可能性もある。家庭環境に起因するケースもあるだろう」と指摘した。

 極端なネグレクト(養育放棄)や性的虐待や暴力が、脳の発達に影響を及ぼすとする研究もある。また、ストレスの多い家庭環境に育った少女は普通よりも早く思春期を迎えることも確認されている。

 アレン氏は、そうした生物学的変化が家庭環境と相関している可能性は極めて高いと見ており、親の養育スキルや方針と、10代の子どもの精神的・生物学的な成長の相関性について長期的な観察を行っていく方針だ。(c)AFP