【2月21日 AFP】米国防総省が制御不能となった偵察衛星を撃墜したことについて、中国政府は21日、米国に対し撃墜による損害の可能性などの情報開示を求めた。

 中国外務省の劉建超(Liu Jianchao)報道局長は定例記者会見で、「大気圏外で撃墜された衛星のその後の状況を注視している」と述べ、「衛星撃墜によって被害を受ける可能性のある国々が回避対策をとれるよう、米国が誠実かつ迅速に国際社会に適切な情報およびデータを開示するよう求める」と語った。

 しかし、撃墜前の18日に「深刻な懸念」を表明した声明と比べると、内容は和らいだものとなっている。

 問題となっている偵察衛星は制御不能状態で地上に落下の恐れがあった。有毒燃料を搭載していたため人間の居住地域に落下した場合、人体への被害が懸念されたことから、米政府は大気圏外での撃墜を決定。米国防総省によると、日本時間21日午後0時26分ごろ、偵察衛星は太平洋を航行中の米海軍イージス艦から発射された迎撃ミサイルにより高度約250キロの大気圏外で撃墜された。

 一方で、宇宙空間における軍拡競争が国際問題となっているなか、米国が迎撃ミサイル実験として利用したのではないかとの見方も出ており、撃墜前の17日にはロシアが、米国による衛星撃墜は「宇宙空間での兵器配備を狙った偽装計画だ」と非難している。(c)AFP