【2月14日 AFP】(2月18日 写真追加)約1億1000万年前のアフリカの森林に生息していたとみられる新種の肉食恐竜2種の化石がニジェールで発見されていたことが分かった。米国の研究者らが13日、発表した。調査結果は古生物学誌「Acta Palaeontologica Polonica」に掲載される。

 研究の主著者、米国シカゴ大学(University of Chicago)のポール・セレノ(Paul Sereno)氏によると、両種とも長い尾でバランスを取りながら丈夫な後肢で高速で走っていた。これまでに周辺で発見されている陸水両方で狩りをする第3の恐竜を含め、3種の恐竜たちは体格の構造の違いから狩りの能力が異なり、豊富な餌をうまく分け合っていたとみられている。

 今回発表された2種の恐竜の化石は、2000年にセレノ氏の調査チームがサハラ(Sahara)奥地を徹底的に発掘した際に発見された20トンの化石の中に含まれていた。調査により、2種が新種であることが確認された。

■主食の違いで共存

 このうち1種は、体長約12メートルで額が隆起した「Eocarcharia dinops」(恐ろしい目をした夜明けのワニ、の意)。餌物のあばら骨や肉を切り裂くことのできる強力なツメと刃物のような歯を持ち、3種の中では最も強い捕食動物だったとみられる。まゆ上部は巨大な骨がせり出し、いつもにらみつけるような表情だっただろうという。雄が雌を奪い合うときなどには、この大きな額の骨をぶつけ合っていたのかもしれない。

 もう1種は、体長約7.5メートルで短い鼻を持つ「Kryptops palaios」(古い隠れた顔、の意)。短い前腕と硬い鼻先は生きた動物を捕まえるより死骸(しがい)をあさることに適していることから、腐食動物だったとみられている。

 一方、1997年に発見された体長11メートルの「スコミムス(Suchomimus)」(ワニに似たもの、の意)は、細長い鼻と釣り針のような歯から、主に魚を餌にしていたとみられる。

 骨の構造を分析し、約9000万年前に生息していた似通った種のものと比較することで、これらの恐竜の様子が推測できるという。

 死体をあさっていたと思われる「Kryptopsの口臭は臭かったと思う」とセレノ氏は笑いながら語る。首は短く腕は小さく、ダチョウのように2本足で歩行。ずんぐりした鼻に硬いくちばし、かなり明るい色調で、この時期の他の捕食動物同様、羽に覆われていた可能性もあるという。

「鋭い歯を持つEocarchariaはもっと破壊的だったろう」と同氏は指摘する。餌となる動物を捕らえて食べ、残された死がいをKryptopsがあさったようだ。Eocarchariaはティラノサウルスに似ており、Kryptopsと同様に明るい色合いで羽毛があったかもしれない」という。

 これらの化石によって、「かなりの古代から少なくとも2000-3000年前までに、この地帯では北半球とは異なり肉食恐竜がすみ分けるようになっていたことが分かる」セレノ氏は話す。圧倒的に強力なティラノサウルスは、北半球を支配していたがアフリカまでは達しなかった。代わりにこうした異なる3種類の肉食竜が発達し、共存する方法を見いだしたのだろうという。(c)AFP