【2月14日 AFP】約4万年前にアジア大陸からベーリング海峡を渡り、アメリカ大陸へ移動したと考えられている人類は、現在のアラスカやカナダにひろがる氷河に阻まれ、2万年間にわたって足止めされていたという説を、米国の研究者が13日、オンライン科学誌「PLoS ONE」に発表した。遺伝学的な研究結果と、考古学や地質学など各方面の研究成果をつきあわせて判明したもので、人類は3つの段階を経てアメリカ大陸へ移動したという。

 米フロリダ大学遺伝研究所(University of Florida Genetics Institute)の副所長、コニー・J・マリガン准教授(Connie J. Mulligan)らは、人類のミトコンドリアDNAの分析結果とアメリカ大陸の言語分布、当時の地理状況なども含めて、人類がどのようにアメリカ大陸へ移動したかを分析。また、約4万年前と約1万5000年前に、人口が増加した時期があることを突き止めた。

 これらの結果を合わせて、マリガン准教授が結論づけた説は、人類の移動が3段階だったというもの。第1段階は、約4万年前にまず100人ほどの狩猟者たちがアジア大陸からベーリング海峡付近へ到着。この時代はまだ、ベーリング海峡は陸地で、狩猟対象の大型動物が生息できる土地だったが、人口が大きく増えるほど肥えた土地ではなかった。

 第2段階は、アラスカやカナダにひろがる氷河に東進を阻まれ、ベーリング海峡付近にとどまった時代で、約1万5000年前までに人口は1000-5400人ほどに増加した。第3段階は、約1万5000年前にアラスカとカナダを覆っていた大きな氷河が溶解し始めて東進することが可能になり、人類がより肥沃なアメリカ大陸へ移動し、大きく人口を増やしたという。

 また、人口が定住した時期に積み重なったと考えられる遺伝子変異も発見し、人類が2万年間にわたってあまり移動しなかったことを裏付けるとしている。

 この研究発表について、ユタ大学(University of Utah)ヘンリー・ハーペンディング教授(Henry Harpending)は、「人類がベーリング海峡で足止めされていたという説は、これまでに長い間考えられていたものだったが、きちんと検証されたことはなかった」と評価している。(c)AFP