【2月12日 AFP】中国北東部の遼寧省(Liaoning Province)西部で、約1億2000万年前に生息していたとみられる小型翼竜の化石が発見されたとの研究報告が、11日付の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)電子版に発表された。スズメほどの大きさで、羽を広げた体長は30センチ未満と、世界でも最も小さい翼竜の新種と考えられる。

 この翼竜には歯がなく、木の枝につかまりやすい曲線状のかぎ爪を持つなど、解剖学的に非常に珍しい特徴がある。主食は昆虫で、林冠部に生息していたとみられる。

 化石を発見したのは、ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学(Federal University of Rio de Janeiro)の古生物学者、アレクサンダー・ケルナー教授(Alexander Kellner)率いる研究チーム。

 研究チームは、翼竜をギリシャ語で「空飛ぶ森の隠者」という意味の「Nemicolopterus crypticus」と名付け、翼竜の中でも翼指竜亜目のDsungaripteroidea上科に分類。この上科の仲間は、羽を広げた体長が約1メートルほどで、中には6メートルに達するものもある。

 翼をもって空を飛んでいた翼竜は、約2億3000万年前に出現し、6500万年前に絶滅したと考えられている。Nemicolopterus crypticusは、こうした翼竜の中でも進化した種類と考えられているが、今回の発見により、翼指竜亜目の仲間はこれまで考えられていたよりも初期の翼竜に近い形態だったことがうかがえるという。

 また、Dsungaripteroidea上科の中で、Nemicolopterus crypticus以外にも森林に生息していた種類がいたのかどうかは不明で、この種だけが特殊な可能性もある。

 今回の発見は、希少な翼竜の化石が見つかったというだけでなく、翼竜の進化を探る上でも貴重なものだと、ケルナー教授は指摘。「翼竜の進化史について、新たな展望を開くものだ」と話している。(c)AFP