【2月4日 AFP】皮膚の色、身長、耐病性など人間集団の多様性を決定付ける遺伝子を500以上発見したとする研究結果が3日、米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics
に発表された。

 仏国立科学研究センター(National Centre for Scientific ResearchCNRS)のLluis Quintana-Murci氏率いる研究チームは、1万から6万年前とみられる期間に自然淘汰(とうた)によって変異した遺伝子582種類を特定した。

 研究では、ナイジェリア、中国、日本、北西欧の4集団から、数百万の個人の遺伝情報を比較し、集団間の相違には自然淘汰が主要な役割を担っていることを突き止めた。これらの発見は、特定の病気の遺伝子的基盤の理解に役立つと期待される。

 例えば、「CR1」遺伝子中のわずかな遺伝子変異は、アフリカ人のマラリアへの耐性を85%に高めているという。マラリア感染の危険性が低い地域の人々の同遺伝子の大半は、このような変異をしていない。

 また、一塩基変異多型(SNPs)と呼ばれる遺伝子変異は、地域によって糖尿病、肥満、高血圧の発症率が違う理由を説明できるという。また、目や髪の色の違いもSNPsによってもたらされているという。

 特定の病気の素因となる遺伝子情報が特定できれば、それを治療する薬剤の発見に寄与するとみられる。

 このような遺伝子変異は、生存を優位にするために正の淘汰を通じて行われることもあれば、生存を妨げる要因を取り除くために負の淘汰によって行われることもある。

 Quintana-Murci氏は「これらの遺伝子は人間が環境に順応するのを助け、遺伝子の変異は一定の優位性をもたらす。ただ、人間集団間の表現型の相違を説明する遺伝子は、ゲノム(全遺伝子情報)のほんの一部にしか過ぎない」と説明する。(c)AFP