【1月18日 AFP】クローン研究の監視を行っている英政府の直轄機関「「ヒト受精・胚(はい)機構(Human Fertilisation and Embryology AuthorityHFEA)」は17日、核を取り除いた動物の卵子とヒトの体細胞を融合させてクローン胚を作る研究について、国内2大学の申請を認可した。

 HFEAの声明によると、申請していたのはニューカッスル大学(Newcastle University)とロンドン大学キングスカレッジ(King’s College)で、それぞれ法律上の全条件を満たしたため、1年間のライセンスを付与したという。

 この研究では、ヒトの体細胞から取り出したDNAを含む核を、遺伝情報の大部分を除去した動物の卵子に移植する。これによって得られる胚は99.9%がヒトで、動物の成分は0.1%しか含まれない。その結果、さまざまな細胞へと成長する幹細胞が生成される。

 動物の卵子から核DNAを取り除き、ヒトのDNAを組み込むと、事実上ヒトとなる。唯一残された「動物」成分は、細胞核の外にあるミトコンドリア内のわずかなDNAだけとなる。

 研究にゴーサインが提示されたことについて、有識者の間ではパーキンソンやアルツハイマーなどの難病の治療に役立つ可能性があると歓迎する声が聞かれる一方、「人間の尊厳に対する悲惨な逆行」との非難も起きている。

 賛成派は「技術改良、再プログラムや早期発達に関する知識の獲得、病気のメカニズムの解明に、動物の卵子を使用するのは論理的」という。

 一方、反対派は「原材料として使用されるだけの人間以下の『奴隷』を作り出すに過ぎない」と批判している。(c)AFP