【1月15日 AFP】恐竜は成体になるずっと前に性成熟期を迎え、ごく若いうちに繁殖可能になっていたことがわかった。米カリフォルニア大学バークリー校(University of California, Berkeley)の研究チームが14日、米科学アカデミー紀要(PNAS)に研究成果を発表した。

 それによると、それぞれ8歳、10歳、18歳と推定される3頭の若いメスの個体の化石を調査した結果、妊娠の兆候が確認できたという。 

 これまで、恐竜の繁殖可能時期については未解明な部分が多かった。研究チームは、鳥類のメスで産卵の際、髄様骨(ずいようこつ)と呼ばれるカルシウムを蓄える組織が足の骨に沈積することから、その祖先にあたる恐竜でも同様の現象がみられるのではないかと考えた。なお、産卵に向けた髄様骨の沈積は3、4週間しかみられないため、化石調査は極めて難しい。

 調査の対象になったのは、草食のテノントサウルス(Tenontosaurus)、肉食のアロサウルス(Allosaurus)とティラノサウルス(Tyrannosaurus)。3頭の化石の大腿骨と頸骨で、髄様骨の沈積が確認できた。

 今回の研究で、恐竜が従来の推定と異なり、成体になるずっと前に繁殖可能時期を迎えることが明らかになった。つまり恐竜の繁殖活動は、その子孫である鳥類よりもむしろ、成体になる前に性成熟期を迎えるヒトを含む中型から大型のほ乳類に近いと言うことができる。

 さらに研究結果からは、恐竜が若くして繁殖可能時期を迎える進化上の理由も推定できる。

 恐竜の寿命は30年程度と言われるが、今回調査された化石のように、10歳まで生き延びられない個体もいる。つまり、若くして繁殖可能時期を迎えるのは、種の生存を確実にするためと考えられる。

 オハイオ大学(Ohio University)整骨療法学部のアンドリュー・リー(Andrew Lee)講師(純古生物学)は、「おそらく恐竜は、子牛や子馬のように生まれてすぐに歩けたのはないか」と語り、恐竜は早熟な生き物だったとの見解を示した。(c)AFP