【1月15日 AFP】ばく大な利益を生む可能性を秘める新発明。主にアジアと米国では昨今、特許申請ラッシュが続き、認可システムがパンク寸前にあると専門家は指摘する。

 世界知的所有権機関(World Intellectual Property OrganisationWIPO)の2007年報告書によると、世界の特許申請件数は年率約4.7%増加しており、特に中国や韓国などアジアの新興国で増加が顕著だという。たとえば1995年から10年間で、中国は8倍、韓国は2倍増加した。

 欧州特許庁(European Patent OfficeEPO)のアリソン・ブリムロー(Alison Brimelow)長官によると、中国の特許申請件数はすでに欧州全体を上回っている。一方、米国や日本の申請件数は依然として群を抜いている。

■未処理の申請書類が急増

 一方でブリムロー長官は、申請件数の増加に伴い世界中で未処理件数が膨れあがっている現状に懸念を示す。未処理件数が増えると、同様の特許がすでに申請されているのを知らずに申請してしまうなどの非効率を生み、市場が不安定化するというのだ。

 たとえばEPOへの申請件数は、過去25年間で、アジア新興国からの申請数の増大、世界経済の拡大、ITやバイオテクノロジーの発展に伴い4倍に増え、2006年は20万8500件にのぼった。だが、2007年までの未処理件数は44万件にものぼっている。日本は83万8000件、米国にいたっては110万件にも上っている。

 EPOでは、申請書類は「発明が新規のものか」の初期審査でまず30%がふるいおとされ、約半数が「さらなる審査」のために保留にされる。

 EPOはこの「保留件数の減少」を目指し、欧州のみならず米国、日本、中国、韓国の特許庁とも連携を深めていきたい考えだ。

 一方、「特許認可後18か月以内に詳細をオンラインで閲覧可能」にすることで重複は防げるものの、中国の企業がその内容を「模倣」して著作権侵害を横行させる要因になっているとの指摘もある。(c)AFP/Francis Curta