【12月19日 AFP】(12月21日 一部更新)任天堂の人気ソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」の監修で知られる東北大学の川島隆太(Ryuta Kawashima)教授のチームとトヨタ自動車(Toyota Motor)が共同で、高齢者ドライバーに事故防止警告を行う自動車の開発に乗り出す。川島教授が19日、AFPに明らかにした。

 川島氏率いる東北大学加齢医学研究所の神経科学者のグループが、トヨタと共同研究チームを立ち上げ、2015-2020年までの実用化を目指す。同教授によると、この次世代自動車には「ドライバーの脳の動きや自律反射神経、注意力その他の精神的・肉体的状態を監視する装備」が搭載される。集中力の低下を感知した場合には、警告音などの手段でドライバーに危険の可能性を警告したり、空調を調整してドライバーの脳を活性化するという。

 日本は世界屈指の高齢大国だ。公式統計によると、11月現在の65歳以上の高齢者人口は2753万人で、全人口の約4分の1を占める。急速な高齢化は同時に高齢ドライバー数の増加を意味する。高齢ドライバーによる自動車事故の増加を受け、一部では高齢者が自発的に運転免許証を返還すべきとの声もあるが、川島氏はこれに対し真っ向から反論する。

 「アンチエイジング(抗加齢)」という表現は加齢が良くないことだとの認識に基づいているが、人生は年齢を重ねるほど良くなると、川島氏は指摘する。高齢者が自動車を運転することで心身ともに活動的になれるように、システム開発に向けて知恵を集結しているという。

 日産自動車(Nissan Motor)も同氏に高齢者向け自動車の共同開発を申し入れているが、現段階では何も決定していないという。(c)AFP