【12月19日 AFP】デンマークのコペンハーゲン大学(Copenhagen University)の法医学研究チームが、グリーンランド(Greenland)の人骨のDNAを調査し、同島へのヒトの移住をめぐる謎を解明しようとしている。

 北極海に浮かぶ世界最大の島、デンマーク領グリーンランドには、少なくとも3000年前に最初の入植者が現れた。11世紀にはノルウェーのバイキング(Viking)がやってきて、同島に初の集落を作った。

 現在同島の人口の大半を占める先住民イヌイット(Inuit)の先祖は13世紀にまでさかのぼることができ、バイキングのコミュニティーと長い間並存していたことになるが、2つのコミュニティー間の接触はほとんどないか、または敵対していたと見られている。

 バイキングの集落の方は、上陸から500年後の15世紀には何らかの原因で消滅してしまった。グリーンランドが北欧同様「小氷河期」に入り、暖かい気候を求めてグリーンランドを去ったということが考えられる。一方カヤックをあやつりアザラシ狩りにいそしむイヌイットの方は極寒に耐えることができ、グリーンランドに残った。

■人類初の「異種間交配」が発見されるか?

 研究チームの1人、Niels Lynnerup氏がAFPに語ったところによると、長年謎とされてきた、最初の入植者と現在のイヌイットとの関連、複数回にわたる入植者の波の相関性をDNA鑑定で探ると言う。

 また、グリーンランドにおけるバイキングの生活様式やバイキングとイヌイット間の混血の有無を遺伝子を分析して解明したいとしており、混血が確認された場合は、5万年前の人類の「出アフリカ」以来初の「異種間交配」になるとしている。

 グリーンランドは、入植者のコミュニティー間が隔絶されており、極寒の気候によって数百年前の人骨でもDNAがよく保存されているため、こうした研究にはうってつけだ。(c)AFP