米NASA、オーロラにエネルギー供給する磁気ロープを発見
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【12月13日 AFP】米航空宇宙局(NASA)の衛星が、オーロラを作り出す太陽エネルギーを導く、地球の大気圏と太陽を結ぶ巨大な磁気ロープを発見した。NASAが11日、米サンフランシスコ(San Francisco)で開かれた米国地球物理学連合(American Geophysical Union)の総会で発表した。
プロジェクト研究員のNASAゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center)のデビッド・シベック(David Sibeck)氏は「衛星は地球の上層大気圏と太陽を直接結ぶ磁気ロープの証拠を発見した。太陽風粒子はこの磁気ロープに沿って流れ、磁気嵐やオーロラにエネルギーを供給していると考えられる」と説明した。
磁気ロープは、NASAの磁気圏観測衛星テミス(History of Events and Macroscale Interactions during Substorms、THEMIS)が発見。同衛星は今年打ち上げられて以来、数多くの新発見を行っている。
磁気ロープは麻製のロープのようにねじられた磁場の束。従来の宇宙探査機も磁気ロープの存在は確認していたが、その構造まで特定することはできなかった。しかし、テミスの5機のマイクロ衛星が初めてこれを可能にした。
「テミスは5月20日に初めて磁気ロープをとらえた。非常に大きく地球ほどの幅があり、地表から6万5000キロほど離れた磁気圏界面と呼ばれる領域に位置している」(シベック氏)
磁気圏界面で太陽風が地球の磁場に突入すると、わずか数分間で磁気ロープが形成されて発達する。太陽風はこの磁気ロープに沿って吹くようになる。
この膨大なエネルギーの突入によって、極磁気嵐としても知られるオーロラの現象を説明することができるという。
3月23日にアラスカとカナダで突如発生した極磁気嵐は、2時間以上にわたって見事なオーロラショーを繰り広げた。
このオーロラが地上から撮影されたころ、衛星は上空から粒子や磁場を観測し、10分間の動きをとらえていた。
テミスの主席研究員Vassilis Angelopoulos氏は、極磁気嵐の動きは非常に予想外だったと語る。
「オーロラは西に向かって2度、誰もが不可能と思っていたほどの速さで現れ、経度15度分を1分未満で横切った」
2時間のオーロラショーには、マグニチュード5.5の地震に相当する500兆ジュールのエネルギーが必要だという。
テミスはまた、地球磁気圏の外縁部の弧状衝撃波面と呼ばれる領域で発生した小さな爆発も観測。
シベック氏は「弧状衝撃波面は船のへさきで砕ける波のようなものだ」と説明する。「太陽風が最初に地球の磁場の影響を受けるところで、時には太陽風に伴い発生した電流が弧状衝撃波面と衝突し、爆発が発生することもある」
テミス計画は米カリフォルニア大学バークレー校(University of Berkeley in California)が主導する2年間のプロジェクトで、数か国が協力している。
テミスの5機の衛星は磁気圏界面の乱れを観測するために、4日ごとに地球の磁気圏に沿って整列する。これにより、極磁気嵐は同時に5方向から観測することができ、極磁気嵐の発生や発達に関する研究に役立つと期待されている。(c)AFP
プロジェクト研究員のNASAゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center)のデビッド・シベック(David Sibeck)氏は「衛星は地球の上層大気圏と太陽を直接結ぶ磁気ロープの証拠を発見した。太陽風粒子はこの磁気ロープに沿って流れ、磁気嵐やオーロラにエネルギーを供給していると考えられる」と説明した。
磁気ロープは、NASAの磁気圏観測衛星テミス(History of Events and Macroscale Interactions during Substorms、THEMIS)が発見。同衛星は今年打ち上げられて以来、数多くの新発見を行っている。
磁気ロープは麻製のロープのようにねじられた磁場の束。従来の宇宙探査機も磁気ロープの存在は確認していたが、その構造まで特定することはできなかった。しかし、テミスの5機のマイクロ衛星が初めてこれを可能にした。
「テミスは5月20日に初めて磁気ロープをとらえた。非常に大きく地球ほどの幅があり、地表から6万5000キロほど離れた磁気圏界面と呼ばれる領域に位置している」(シベック氏)
磁気圏界面で太陽風が地球の磁場に突入すると、わずか数分間で磁気ロープが形成されて発達する。太陽風はこの磁気ロープに沿って吹くようになる。
この膨大なエネルギーの突入によって、極磁気嵐としても知られるオーロラの現象を説明することができるという。
3月23日にアラスカとカナダで突如発生した極磁気嵐は、2時間以上にわたって見事なオーロラショーを繰り広げた。
このオーロラが地上から撮影されたころ、衛星は上空から粒子や磁場を観測し、10分間の動きをとらえていた。
テミスの主席研究員Vassilis Angelopoulos氏は、極磁気嵐の動きは非常に予想外だったと語る。
「オーロラは西に向かって2度、誰もが不可能と思っていたほどの速さで現れ、経度15度分を1分未満で横切った」
2時間のオーロラショーには、マグニチュード5.5の地震に相当する500兆ジュールのエネルギーが必要だという。
テミスはまた、地球磁気圏の外縁部の弧状衝撃波面と呼ばれる領域で発生した小さな爆発も観測。
シベック氏は「弧状衝撃波面は船のへさきで砕ける波のようなものだ」と説明する。「太陽風が最初に地球の磁場の影響を受けるところで、時には太陽風に伴い発生した電流が弧状衝撃波面と衝突し、爆発が発生することもある」
テミス計画は米カリフォルニア大学バークレー校(University of Berkeley in California)が主導する2年間のプロジェクトで、数か国が協力している。
テミスの5機の衛星は磁気圏界面の乱れを観測するために、4日ごとに地球の磁気圏に沿って整列する。これにより、極磁気嵐は同時に5方向から観測することができ、極磁気嵐の発生や発達に関する研究に役立つと期待されている。(c)AFP