ゾウの鼻は、家族を見分けるための探知装置
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【12月6日 AFP】アフリカゾウは尿のにおいによって家族を特定し、強力な嗅覚(きゅうかく)でその居場所を追跡するとの研究結果が5日、英国王立学会(Royal Society)発行の専門誌「Biology Letters」に発表された。
強力な嗅覚と優れた記憶力は、数頭から数百頭まで絶え間なく群れの大きさを変えながら移動するゾウには欠かせないと研究は指摘する。
研究を行ったのは、スコットランドのセントアンドルーズ大学(University of St Andrews)のリチャード・バーン(Richard Byrne)氏率いる英国・ケニアの合同研究チーム。
チームはケニアのアンボセリ国立公園(Amboseli National Park)のゾウに対し、家族を家族以外のゾウから見分ける能力をテストした。また、家族の居場所をいつでも特定することができるかについても実験を行った。
2007年3月、研究チームは、土と混ぜた雌ゾウの尿を36家族が通過する道沿いに置き、反応を観察した。雌ゾウの尿のみを置くのは、アフリカゾウの社会構造が母系社会だからだ。
最初の群れの雌ゾウは、尿のサンプルが別の家系のものである場合はほとんど関心を示さなかったが、家族のものの場合は立ち止まって鼻を近づけた。
研究の結果、アフリカゾウは常に少なくとも17頭の雌、雌雄にかかわらず30頭の個体を把握できることが判明した。
群れを率いるゾウは、尿が新しく、群れに遅れをとっている家族のものである場合、特に強い関心を示した。事実と矛盾する証拠を発見してゾウが「驚き」を示したことから、研究は「ゾウが群れのどこにどのゾウがいるかを記憶することができる」と結論付けている。
さらに研究チームは、ゾウが嗅覚で家族を見分ける能力は、尿に含まれる特定のタンパク質によって可能なのではないかと推測している。(c)AFP