【12月4日 AFP】(一部更新)英国の古生物学者フィリップ・マニング(Phillip Manning)率いる調査チームは3日、ミイラ化した恐竜ハドロサウルス(Hadrosaur)の一部を発見したと米地理学協会(National Geographic Society)で発表した。皮膚や筋肉などが石化した完全な状態で見つかるのは極めてまれなことで、この種の恐竜の研究に新たな光を当てるものとして注目されている。

 カモノハシのようなくちばしを持つハドロサウルスの最初の化石は、1999年に米ノースダコタ(North Dakota)州にあるヘルクリーク(Hell Creek)と呼ばれる化石の宝庫で、当時16歳の少年によって発見された。

 古生物学者のマニング氏がこれに注目。その後2年間、同氏率いる研究チームが調査を行った結果、極めて保存状態の良い「恐竜のミイラ」が発見されたという。「古生物学では骨が完全な状態で見つかることは極めてまれだ。驚くべき発見だ」と同氏は語る。

 ハドロサウルスは、6700万年前に生息してしていた恐竜の一種で、全長7-9メートル、体重3.6トンほど。愛称は「ダコタ(Dakota)」だ。

 ダコタがこのように完全な形で保存されたのは、短時間のうちに泥の層に埋まったからだと、研究チームはみている。

 米スミソニアン自然史博物館(Smithsonian Museum of Natural History)の恐竜専門家によると、ミイラ化した恐竜はこれまで世界中で10匹たらずしか発見されておらず、今回のダコタはその1匹になるという。

 ダコタの体内を、航空機に用いる巨大なスキャナーで3次元画像により詳しく調査した結果、背中はこれまで考えられていたより推定で25%も大きいことが判明。走る速度も、ティラノサウルス・レックスをしのぐ最高時速45キロに達する可能性があるという。また外皮は、外敵から身を守る保護色となる、しま模様だったとみられる。

 脊椎の間の間隔が1センチ程度であったことも分かり、体長はこれまで考えられていたより少なくとも1メートルは長かった可能性があるという。大半の自然史博物館で展示されているダコタの骨格は、脊椎の各骨の間隔をあけずに組み立てられていた。

 マニング氏は「ミイラ化したダコタの化石のおかげで、大量の手掛かりが得られた」と話している。「これに比べれば、過去に見つかったばらばらの恐竜の化石は、まるで路上で車にひかれたようなものだ。今回の化石はまさに完ぺきな状態だ」(c)AFP/Jean-Louis Santini