【11月30日 AFP】「知能を決定する遺伝子を発見することは非常に難しい」との研究結果が、12月1日発行の英科学誌ニュー・サイエンティスト(New Scientist)に発表される。

 ロンドン大学精神医学研究所(Institute of Psychiatry in London)のロバート・プロミン(Robert Plomin)氏率いる研究チームは、7歳児7000人から知能テストの点数を入手した。点数の高い子どもと低い子どもに遺伝的違いがあるかを特定するため、併せてDNAサンプルも採集した。

 調査の結果、知能の違いに何らかの役割を果たすとみられる6つの遺伝子に37種類の変異体があることが判明した。

 だた、これらの遺伝子の個別の効果を特定することは、ほとんど不可能だった。しかもこれらの遺伝子は、個人間の知能に差異をもたらすものの、わずか1%にしかすぎないという。

 双子や養子を対象にした過去の調査研究で、知能の違いは、半分は生育環境や社会的要因、半分は遺伝によることが指摘されている。

 研究チームによると、知能と遺伝子の関係を証明することは非常に難しいが、知能に与える影響は生まれと育ちが半々という説の見直しの必要性を意味するわけではない。ただ、知能のような複雑な特性は明らかに、個々の遺伝子よりもさまざまな遺伝子の組合わせによる効果によるものだという。

 ニューヨーク大学(New York University)の物理学者ゲイリー・マーカス(Gary Marcus)氏はニュー・サイエンティスト誌に対し、「知性は脳の統合のされ方による作用で、人間のゲノムの少なくとも半分が何らかの形で脳の働きにかかわっている。つまり、人間の脳を形成するためには、数千の遺伝子がともに作用する必要があるということだ」とコメントしている。(c)AFP