【11月19日 AFP】欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)が10億ユーロ(約1630億円)を投入して開発した彗星(すいせい)探査機、「ロゼッタ(Rosetta)」が13日(日本時間14日)、地球フライバイを成功させた。ESAは今回の成功について「画期的な出来事」と述べた。

 2004年に打ち上げられたロゼッタは13日、太平洋のチリ南西部上空5295キロの地点を時速4万5000キロのスピードで通過。予定されている71億キロのうち30億キロの飛行を終えた計算になる。

 また、目標とする、地球から6億7500万キロ離れたチュリュモフ・ゲラシメンコ(Churyumov-Gerasimenko)彗星には打ち上げ10年後の2014年に到達する。

 ロゼッタは彗星と並走し、遠隔センサーを使って画像を取得するほか、表面の化学分析を行うために冷蔵庫ほどの大きさのロボット研究室を送り込む。

 彗星にたどり着くためには、ロゼッタは地球や火星の重力圏から離脱するときの力を利用した複数回のフライバイを行って加速を続けていかなければならない。今回のフライバイは3度目(うち地球は2度目)で、最後のフライバイは2009年11月に地球で行われるという。

 今回のフライバイは、危険な小惑星の観察を行う天文台関係者の間でちょっとしたパニックを引き起こした。

 自動探査機がロゼッタを「地球近傍天体(NEO)」とみなし、小惑星センター(Minor Planet CenterMPC)が各地の天文台に警告を発したためだった。間違いについて指摘を受けたMPCは、「人工衛星の位置情報の乏しさが明るみに出た」と述べ、ほどなく警告を撤回した。

 パリを拠点とする国際天文学連合 (International Astronomical UnionIAU)の関連組織であるMPCは、マサチューセッツ(Massachusetts)のスミソニアン天体物理観測所(Smithsonian Astrophysical Observatory)によって運営されている。

 天文学者らは、太陽系に散らばる彗星の研究を進めることによって、惑星の成り立ちや地球生命の起源を解明する手掛かりになるとみている。(c)AFP