【11月17日 AFP】2006年9月に2億4000万光年離れた銀河NGC 1260で発見された超新星SN2006gyの研究に当たっていた米国の天文学者らが、巨大恒星の死のなぞを解き明かした。14日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に研究報告が掲載された。

 米カリフォルニア大学サンタクルス校(University of California at Santa Cruz)のスタン・ウーズリー(Stan Woosley)氏が主導する研究チームが明らかにした。

 超新星爆発は、恒星がその一生を終えるときにまばゆい光を放って爆発する現象。超新星SN2006gyは、太陽の500億倍以上の明るさを誇り、観測史上最大とされる。これは一般的な超新星の約100倍の明るさに相当する。

 研究チームによれば、超新星SN2006gyの実体は少なくとも太陽の100倍以上の大きさを持つ超巨大恒星で、爆発は1回だけではなく、数回にわたったとみられる。

「超新星爆発は恒星の死と言われている。しかしこの恒星のケースでは、数回にわたって爆発が起きたと考えられる」(ウーズリー氏)

 研究チームは、太陽質量が90-130の超巨大恒星SN2006gyの死に際し、何が起きたかを考えるところから仮説を組み立てた。

 恒星は、その核の温度が高くなると、電子と陽電子が対生成されてガンマ線が消滅し、収縮を開始する。

「核の収縮によって恒星は不安定になり、ついには崩壊してエネルギーを大量に消費する。続いて、恒星は爆発的に膨張するが、全体が崩壊するには至らない。太陽質量が90-130程度の巨大恒星はパルス状電波を発生するためだ。こうして不安定になった恒星は、爆発的な膨張を続け、さらにガンマ線を放出し、収縮を繰り返す。最終的には核の温度がさらに上昇し、再び不安定になる。そうして安定した状態に戻るまで質量を失い続ける」

 超新星SN2006gyの場合には、太陽質量で40程度まで収縮してもなお爆発が繰り返されたと考えられる。ついには核が崩壊し、ガンマ線バーストに陥ったとみられる。

 SN2006gyのような超巨大恒星は、銀河系ではきわめて珍しい。しかしウーズリー氏は、宇宙の揺籃期(ようらんき)には、そうした超巨大恒星は一般的な存在だったのではないかとみている。(c)AFP