海辺で暮らした人類最古の住居跡、南アで発見
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【10月23日 AFP】海辺で暮らした人類の居住跡としては最古となる、氷河期の16万4000年前後のものとみられる遺跡が、南アフリカ沿岸の洞穴で発見された。米アリゾナ州立大学(Arizona State University)などの研究チームが、18日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」上で発表した。初期人類がアフリカからどのように世界に旅立ったのかを知る手掛かりになるかもしれないという。
■食糧求め早い時期に海岸地域に移動
洞穴遺跡からは、イガイの貝殻のほか、赤色の顔料となる鉱石の破片や細石器も見つかった。研究チームによると、これは現生人類がアフリカのサバンナに出現後、かなり早い時期に海へ向かったことを示すという。氷河期に陸上での食料採取が困難になった人類は、豊かな海産物を栄養源にしながら海岸沿いを移動していった。そして、アフリカ大陸の外へと向かったのだという。
これまで見つかった人類が海辺で暮らした証拠となる最古の遺跡は12万年前、人類がアフリカ東部のサバンナに出現したと化石から推定される20万年前から8万年後のものだった。
研究者の間では、海岸への移住は、もっと早い時期に始まったに違いないと考えられていたが、問題はこの仮説を裏付ける証拠を見つけることだった。
19万5000年から13万5000年前までの氷河期には大量の海水が凍結したため、海面は現在より125メートルも低かった。気温の上昇で氷河の溶解が進むに従って海面は次第に上昇し、海岸は水没して遺跡も流失してしまった。
南アフリカのモッセルベイ(Mossel Bay)近郊ピナクルポイント(Pinnacle Point)のインド洋を見下ろすがけの洞穴で発見された遺跡は、水没を免れた貴重な遺跡のひとつだ。
この洞穴遺跡は現在でも海抜15メートルと非常に高い場所にあり、人類が居住していた時代には、海からは5から10キロほどの距離にあった。
アリゾナ州立大学のCurtis Marean氏率いる研究チームは、洞穴で調査した壁と床から、いろりの跡や、茶色のイガイを中心とした数十枚の貝殻、明るい赤色も含む57片の顔料、細石器の「小石刃」40個近くを発見した。
前後1万2000年程度の幅があるものの、この遺跡はおよそ16万4000年前のものとみられ、アフリカ大陸からの人類の移動を理解するのに役立つと考えられている。
■海産物を栄養源に世界各地へ
長い氷河期の間、アフリカ南部は現在より気温が低く、乾燥していたことから、人類は狩猟採集により動物や果物、木の実を食料とすることが難かしいと判断した。そこで海岸に移動することで、まったく新しい食料供給源を手に入れたのだとMarean氏は説明する。
「氷河期には陸上の食料生産性が低下し、そのような時期に人類が生き延びるためには、貝類は非常に貴重な食料源だっただろう。当時、アフリカ南部の大半は、より乾燥しており、居住地はおそらく現在は水没している沿岸地域に集中していたとみられる」(Marean氏)
こうした海産物への食の移行は、最後の氷河期が終わりごろに家畜の飼育が始まるおよそ1万1000年前まで、人類の食生活の歴史の中で起きた最も大きな転換だった。
人類は豊かな海の恵みを生命維持のための栄養源として、紅海沿いにアフリカ大陸を脱出。北上して中東へ移動後、海沿いに南アジアへ、さらに島伝いにオーストラリアとニューギニアにわたったとされる。(c)AFP
■食糧求め早い時期に海岸地域に移動
洞穴遺跡からは、イガイの貝殻のほか、赤色の顔料となる鉱石の破片や細石器も見つかった。研究チームによると、これは現生人類がアフリカのサバンナに出現後、かなり早い時期に海へ向かったことを示すという。氷河期に陸上での食料採取が困難になった人類は、豊かな海産物を栄養源にしながら海岸沿いを移動していった。そして、アフリカ大陸の外へと向かったのだという。
これまで見つかった人類が海辺で暮らした証拠となる最古の遺跡は12万年前、人類がアフリカ東部のサバンナに出現したと化石から推定される20万年前から8万年後のものだった。
研究者の間では、海岸への移住は、もっと早い時期に始まったに違いないと考えられていたが、問題はこの仮説を裏付ける証拠を見つけることだった。
19万5000年から13万5000年前までの氷河期には大量の海水が凍結したため、海面は現在より125メートルも低かった。気温の上昇で氷河の溶解が進むに従って海面は次第に上昇し、海岸は水没して遺跡も流失してしまった。
南アフリカのモッセルベイ(Mossel Bay)近郊ピナクルポイント(Pinnacle Point)のインド洋を見下ろすがけの洞穴で発見された遺跡は、水没を免れた貴重な遺跡のひとつだ。
この洞穴遺跡は現在でも海抜15メートルと非常に高い場所にあり、人類が居住していた時代には、海からは5から10キロほどの距離にあった。
アリゾナ州立大学のCurtis Marean氏率いる研究チームは、洞穴で調査した壁と床から、いろりの跡や、茶色のイガイを中心とした数十枚の貝殻、明るい赤色も含む57片の顔料、細石器の「小石刃」40個近くを発見した。
前後1万2000年程度の幅があるものの、この遺跡はおよそ16万4000年前のものとみられ、アフリカ大陸からの人類の移動を理解するのに役立つと考えられている。
■海産物を栄養源に世界各地へ
長い氷河期の間、アフリカ南部は現在より気温が低く、乾燥していたことから、人類は狩猟採集により動物や果物、木の実を食料とすることが難かしいと判断した。そこで海岸に移動することで、まったく新しい食料供給源を手に入れたのだとMarean氏は説明する。
「氷河期には陸上の食料生産性が低下し、そのような時期に人類が生き延びるためには、貝類は非常に貴重な食料源だっただろう。当時、アフリカ南部の大半は、より乾燥しており、居住地はおそらく現在は水没している沿岸地域に集中していたとみられる」(Marean氏)
こうした海産物への食の移行は、最後の氷河期が終わりごろに家畜の飼育が始まるおよそ1万1000年前まで、人類の食生活の歴史の中で起きた最も大きな転換だった。
人類は豊かな海の恵みを生命維持のための栄養源として、紅海沿いにアフリカ大陸を脱出。北上して中東へ移動後、海沿いに南アジアへ、さらに島伝いにオーストラリアとニューギニアにわたったとされる。(c)AFP