米ノーベル賞科学者が人種差別発言、所属研究所から職務停止処分
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【10月20日 AFP】DNAの二重らせん構造の発見が認められ1962年にノーベル医学生理学賞を受賞した米科学者ジェームズ・ワトソン(James D. Watson)博士は19日、英紙とのインタビューで人種差別的な発言を行い騒動を巻き起こしたことを受け、予定されていた英国での新著発売記念ツアーを中止し帰国した。また、博士が所属する研究所は、博士の職務停止を決定した。
同博士は滞在していたロンドン(London)で、英サンデー・タイムズ(Sunday Times)紙とのインタビューを行ったが、そこでの人種差別的発言が騒動を巻き起こしたため、ツアーを中止し、帰国した。ワトソン博士の新著出版元が明らかにした。当初、25日まで滞在し、いくつかのイベントに参加する予定となっていた。
ワトソン博士は、同紙とのインタビューで「アフリカの先行きは暗い」と述べ、その理由を「すべての社会政策は、われわれの知性が等しいとの事実を基礎としている。しかし、さまざまな研究結果はそれを必ずしも肯定していない」と発言した。
ワトソン博士が勤めるコールドスプリングハーバー研究所(Cold Spring Harbor Laboratory)の評議委員会は18日に声明で、「14日のサンデー・タイムズ紙に掲載されたワトソン博士の発言に異議を唱える」とし、同博士の職務停止処分を決定した。博士は同研究所でナンバー2の地位にあった。
■過去にも差別的問題発言
英国オープン大学(Open University)のSteven Rose神経生物学教授は英国放送協会(BBC)に対し、「ワトソン博士の軽率な行動および人種主義的、性差別主義的、同性愛差別的な強い攻撃的発言は悪評高い」と指摘する。
伝えられるところによると、ワトソン博士は、同性愛者の遺伝子を持つ子どもを妊娠している事実が検査の結果で判明可能となれば、女性には堕胎する権利が発生するべきだと述べ、物議を醸したこともあるという。また、遺伝子を修正して人々、特に女性をより美しくできる日が来るとも主張しているという。(c)AFP