【10月16日 AFP】アルゼンチンとブラジルの古生物学研究チームは15日、アルゼンチンのパタゴニア(Patagonia)地方で2000年に出土した8800万年前の新種の巨大恐竜の化石模型を、リオデジャエイロ(Rio de Janeiro)のブラジル科学アカデミー(Brazilian Academy of Science)で公開した。

 アルゼンチンのコマウエ大学古生物学センター(Comahue National University Paleontology Center)のホルヘ・カルボ(Jorge Calvo)所長は、「これまでに世界で出土した恐竜の化石のなかで最大とされる3体のうちの1体で、全骨格の70%が出土したことから最も完全といえる」と説明している。

 恐竜はティタノサウルス類Lognkosauria属の新種で、「巨大な恐竜の長」を意味する少数民族マプチェ(Mapuche)の言葉と、発掘資金の大半を援助したアルゼンチンの企業Duke Energy Argentinaにちなんで「フタロンコサウルス・デュケイ(Futalognkosaurus dukei)」と命名された。全長は推定32-34メートル、生息地はパタゴニア地方に限られる。

 化石は2000年2月に、ネウケン(Neuquen)の北90キロのバレアレス(Barreales)湖岸で行われた発掘の早い段階で出土した。わずか400平方メートルの発掘現場からは動物や植物、魚介類、ほかの種類の恐竜の化石も見つかった。

 カルボ所長によると、この発掘により「後期白亜紀(9700万年前-6600万年前)の生態系を、これまでにない正確さで再現」することが可能になり、「化石の大半は幅0.5メートルの岩層の下の限られた範囲から出土した。この事実から、これらの生物はすべて同じ時代に生息していたと推論できる」という。

 ワニに似た少なくとも2種類の生物や、40センチの爪を持つ肉食動物のような恐竜のメガラプトル(Megaraptor)、翼竜などの恐竜の化石のほか、当時は被子植物が優勢だったことを示す木の葉の化石も見つかった。(c)AFP