土星の2衛星に関する新発見、生命体の可能性も
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【10月13日 AFP】これまで謎に満ちていた土星の衛星「エンケラドス(Enceladus)」と「イアペタス(Iapetus)」の実態が少しずつ解明されてきた。
米航空宇宙局(NASA) と欧州宇宙機関(ESA)は土星探査機カッシーニ(Cassini)を使用して、近距離から撮影したこの2つの衛星の画像を入手した。
■エンケラドスには生命体の可能性も
土星の外輪の離心軌道を移動するエンケラドスは、ギリシャ神話の巨人にちなんで名付けられたものの、全長500キロほどの小さな衛星。表面は、輝く白い氷の殻に覆われている。土星の引力による潮汐摩擦によって温められた、温暖な海洋を覆い隠しているとの説もある。事実であれば、生命体が存在する可能性がある。
もっとも注目されている領域は南極で、間欠泉のように水蒸気を大気中に噴き出している。
コロラド州(Colorado)ボルダー(Boulder)にあるSpace Science Instituteでは、この南極領域の温度分布図を作成し、この噴出が南極付近に平行に走る複数の亀裂(通称「タイガーストライプ」)の位置と相関関係にあることを発見した。
英科学誌「ネイチャー(Nature)」に11日に発表されたばかりの研究報告の共同執筆者、Joseph Spitale氏は「噴出される物質がタイガーストライプかそのすぐ近くの物質であることが確認された」と語った。同氏によると、噴出される物質が水なのかクラスレート(包接化合物)と呼ばれる水和したガスなのか、また、その物質は地表直下にあるのか、もしくはもっと深いところにあるのかについては依然として意見が分かれるという。
■2色の衛星イアペタス
次に2色の奇妙な衛星、イアペタスに目を向けてみると、この衛星は半球が次第に暗くなっているが、もう一方の半球は次第に白くなってきている。NASAとESAの研究者は、カッシーニから送信されてきたデータを解析することによって、この原因を突き止めたと発表した。
原因は、対面軌道にある土星の外衛星から放出されたちりのような物質が、イアペタスにぶつかるためと考えられている。結果として、半球の表面は薄く黒い物質に覆われ、太陽光線をより多く吸収することから気温も高くなるという。
といっても気温は摂氏マイナス146度と快適とは言えないものの、氷を蒸発させるには十分で、先の仮説を裏付ける。
水蒸気は、付近のコールドスポットで循環するうちに、氷に覆われて明るい方の半球で凝固する。結果として、暗い半球では地表の氷を失ってより表面が暗くなり、明るい半球では氷を蓄積し、より明るくなるという。
ESAの11日の発表によると、この「温度による分離」の理論が初めて発表されたのは今から30年以上前だが、水蒸気の赤外線画像処理とカッシーニから送られてくる紫外線データのおかげで次第に支持を獲得しつつあるという。(c)AFP
米航空宇宙局(NASA) と欧州宇宙機関(ESA)は土星探査機カッシーニ(Cassini)を使用して、近距離から撮影したこの2つの衛星の画像を入手した。
■エンケラドスには生命体の可能性も
土星の外輪の離心軌道を移動するエンケラドスは、ギリシャ神話の巨人にちなんで名付けられたものの、全長500キロほどの小さな衛星。表面は、輝く白い氷の殻に覆われている。土星の引力による潮汐摩擦によって温められた、温暖な海洋を覆い隠しているとの説もある。事実であれば、生命体が存在する可能性がある。
もっとも注目されている領域は南極で、間欠泉のように水蒸気を大気中に噴き出している。
コロラド州(Colorado)ボルダー(Boulder)にあるSpace Science Instituteでは、この南極領域の温度分布図を作成し、この噴出が南極付近に平行に走る複数の亀裂(通称「タイガーストライプ」)の位置と相関関係にあることを発見した。
英科学誌「ネイチャー(Nature)」に11日に発表されたばかりの研究報告の共同執筆者、Joseph Spitale氏は「噴出される物質がタイガーストライプかそのすぐ近くの物質であることが確認された」と語った。同氏によると、噴出される物質が水なのかクラスレート(包接化合物)と呼ばれる水和したガスなのか、また、その物質は地表直下にあるのか、もしくはもっと深いところにあるのかについては依然として意見が分かれるという。
■2色の衛星イアペタス
次に2色の奇妙な衛星、イアペタスに目を向けてみると、この衛星は半球が次第に暗くなっているが、もう一方の半球は次第に白くなってきている。NASAとESAの研究者は、カッシーニから送信されてきたデータを解析することによって、この原因を突き止めたと発表した。
原因は、対面軌道にある土星の外衛星から放出されたちりのような物質が、イアペタスにぶつかるためと考えられている。結果として、半球の表面は薄く黒い物質に覆われ、太陽光線をより多く吸収することから気温も高くなるという。
といっても気温は摂氏マイナス146度と快適とは言えないものの、氷を蒸発させるには十分で、先の仮説を裏付ける。
水蒸気は、付近のコールドスポットで循環するうちに、氷に覆われて明るい方の半球で凝固する。結果として、暗い半球では地表の氷を失ってより表面が暗くなり、明るい半球では氷を蓄積し、より明るくなるという。
ESAの11日の発表によると、この「温度による分離」の理論が初めて発表されたのは今から30年以上前だが、水蒸気の赤外線画像処理とカッシーニから送られてくる紫外線データのおかげで次第に支持を獲得しつつあるという。(c)AFP