【10月12日 AFP】乳ガンと結腸ガンの遺伝子的特徴は個人差が極めて大きいことが、これまででもっとも包括的な遺伝子マップの作成により明らかになった。米ジョンズホプキンス大学(Johns Hopkins University)の研究チームが11日の米科学誌「サイエンス(Science)」に発表した。

 乳ガンと結腸ガンの遺伝子1万8000個以上を分析した結果、2つのガンに関係する遺伝子は300個にも上ったが、そのうち「高頻度」、つまり頻繁に発生するタイプの遺伝子突然変異はほんの一握りであることもわかった。

 従って大半の突然変異遺伝子は極めてまれにしか発生せず、個人差が極めて大きいことになる。しかし研究者は、患者の身体の生化学プロセスに応じて、突然変異を大まかなグループに分けることはできると考えている。

 ガン研究をおこなう遺伝子研究者は長年、ガンを発生させるのは少数の中核的な遺伝子だと考えてきた。しかし、今回の遺伝子マップの完成により、事態はより複雑で、ガンの発生には数十種類の遺伝子が関与している可能性が大きくなった。

 「2つのガンの治療はこれまで予想されていたよりも困難であることがわかった」と、同大Kimmel Cancer CenterVictor Velculescu準教授は語った。

 「1人ずつのガンの遺伝子構成に合わせた薬を患者ごとに作っていかなければならないということだ。ガン治療の未来は、個人別に処方された薬にある。今使っている薬は、武器でいえば鈍器のようなもの」

 今回の研究では、乳ガン、結腸ガンの患者それぞれ11人を対象に、手術で摘出したガン組織のDNAを健康な人の組織と比較した。(c)AFP