【10月10日 AFP】(写真追加)英マンチェスター大学(University of Manchester)の古生物学者が米北西部モンタナ(Montana)州で発見した恐竜の足跡の化石が、ティラノサウルス(Tyrannosaurus rex)のものである可能性が高いことがわかった。事実であれば、ティラノサウルスの足跡の発見は世界で初めて。

 ジュラ紀(約2億年から1億4000万年前)および白亜紀(約1億4000万年前から6500万年前)を専門とする同大のフィル・マニング(Phil Manning)氏が、10日放送予定のBBCのドキュメンタリー番組の中で語ったもの。

 これによると、「足跡」はモンタナ州東部の白亜紀地層で有名なヘル・クリーク(Hell Creek)でマニング氏が行った発掘調査で前年に発見されたもの。約6700万年前のものとみられ長さは約76センチ。 

 マニング氏は、「足跡」がティラノサウルスのものであることが100%実証されたわけではないとしながらも、肉食の大型恐竜のものであることは確実だと語る。

 「都合よく足跡のうえで死を迎えた恐竜の化石にめぐり合わない限り、足跡の特定は困難だ。しかし、これまでにヘル・クリークの地層からティラノサウルスの化石が数多く発見されており、今回の足跡がティラノサウルスのものである可能性は極めて高いといえる」(マニング氏)

 これまでに同地で化石が発見された大型恐竜は、ティラノサウルスと、やや小型のナノティラヌス(Nanotyrannus)の2種だけだ。

 ティラノサウルスは全長12メートル、高さ約6メートル、体重約7トン。今回発見された足跡の持ち主は、大きさからして、ティラノサウルスである可能性が高いとマニング氏はいう。

 ロンドン(London)の自然史博物館(Natural History Museum)研究員のアンジェラ・ミルナー(Angela Milner)氏は、AFPの取材に対し、今回マニング氏が発見した「足跡」と1993年に米南部ニューメキシコ(New Mexico)州で発見されTyrannosaurus pillmoreiと名づけられた「足跡」との対比に関心を示す。

 ミルナー氏によれば、ニューメキシコで発見された「足跡」は、マニング氏が発見したものより4センチ長いが、どちらも同時期の地層から発見されており、同時代に存在した大型恐竜のものであることは確実だという。

 「これだけ大型の足跡を残す恐竜は、ティラノサウルス以外には考えられない」(ミルナー氏)。(c)AFP