【9月25日 AFP】アフリカ東部に生息するハエトリグモの一種、African jumping spiderの驚くべき性生活が明らかになった。ニュージーランド、クライストチャーチ(Christchurch)のカンタベリー博物館(Cantebury Museum)のサイモン・ポラード(Simon Pollard)氏が科学誌「Ethology」に研究を発表した。

■食うか、食われるか― 生殖行動も、生存競争も雌雄平等

 「Evarcha culicivora」という学術名を持つこのクモは、パートナーを選ぶ際にオス、メスのいずれもが同様に主導権をとる。これはクモの世界では非常にまれなことといえる。

 さらには、交尾を終えた後で相手を食べてしまう点でも、オスとメスは平等。ただし、オスがメスを食べる傾向の方がやや強いという。普通のクモは生殖行動後にオスがメスを食べるのだ。

■メスのクモは、初体験には「大きいオス」を好む

 さらにこの種は、他のクモに比べて抜群の視力を備えており、パートナー選びは視覚により相手を確認し、選定の基準は大きさだということも明らかになっている。

 メスの体長は通常、3~6ミリ。オスは4~7ミリのため、オス、メスのパートナーのいずれが大きいこともありうる。しかし、研究室での繰り返し実験を行った結果、オス、メスいずれも自分より1ミリ~2ミリ大きい相手を好むことがわかった。

 特に、交尾が未体験のメスは、相手のオスが経験豊富であろうと初めてであろうと、体の大きなオスを選ぶ傾向にある。しかし経験が豊富になるにつれ、3匹のうち2匹は視界に入るもっとも小さなオスを選ぶようになるという。

 「未体験のメスは、交尾後に食べられてしまうことを覚悟して、自分より大きなオスを選ぶが、食べられずに経験を積んだメスは、そうした危険を回避するようになる」とポラード氏。しかし、メスが経験を積むと慎重になる理由は、今のところ判明していない。(c)AFP/Marlowe Hood