【【9月10日 AFP】「政治観の違い」の一部は、生まれつき持ち合わせたものによるとする研究結果が、9日付けの英科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)」に掲載された。「人間は政治的動物である」と述べた哲学者アリストテレス(Aristotle)は、本人が認識していた以上に、人間の本質をついていたのかもしれない。

 研究を発表したのは、米ニューヨーク大学(New York University)の政治学者デビット・アモーディオ(David Amodio)率いる研究チーム。研究によると、進歩主義者と保守主義者では、厳しい選択に直面した際の脳神経細胞の反応の仕方が異なる。

 研究チームは、進歩主義者と保守主義者の脳が、ある刺激に対し異なる反応を示すか否かを突き止める実験を行った。

 実験は43人の右利きの被験者に対し、定着した型どおりの行動を崩すことを促す合図を送り、考えることなく反応を返すよう設計された一連のコンピューターテストを実施するというもの。

 神経細胞の反応を測定する脳波計を用いて、脳の前帯状皮質の活動を調査したところ、活動が「矛盾を監視する自己調整プロセス」と密接に関連していることが分かったという。

 この関連性は明白で、状況が「型どおりの行動を破る要求」をしたとき、進歩主義者の反応は「型を破ろうとする神経作用」が明らかに大きかった。一方、保守主義者は進歩主義者に比べ柔軟性に劣り、「変えるべきだ」との兆しは示しながらも、古い慣習から逸れることを拒否する作用が働いたという。

 この結果は進歩主義者は融通が利き、保守主義者は杓子定規で頑固だと読むこともできる。逆に、優柔不断な進歩主義者は自身の主義を貫かず、保守主義者は信念を持ち忠実だと見ることも可能だ。(c)AFP/Marlowe Hood