【8月11日 AFP】来年の北京五輪を雨で台無しにしないように、中国の科学者らが空の雲を「消す」実験を始めている。国営通信の新華社(Xinhua)が10日、伝えた。

 新華社によると、中国北部の内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)の区都フフホト(Hohhot)に8日、数十人の科学者が集合。上空から化学物質を散布し、雲を分散することで雨が防げるかどうかの実験を行ったという。

 この特別任務は、2008年8月8日と24日に行われる開会式と閉会式を晴天にすることを目的とした科学研究の一部。

 実験は、3つのグループに分かれた30人の技術者が、飛行機でフフホト上空8000メートルを飛行、半径80キロの範囲内で3時間にわたって化学物質を散布した。散布された物質はヨウ化銀と珪藻岩の2種類で、新華社はどちらも環境に影響はないと明記した。

 結果、湿気の高い厚い雲や大きな雲では成功しなかったものの、それほど大きくない雲の分散には成功したと関係者は伝えた。

 中国政府はほかにも、五輪開催中に雨が必要となれば人工雨を降らすことが可能なシステムも開発したと発表。悪名高い汚染された空気を、強風で吹き飛ばすこともできるという。

 人工雨を降らせるため、市内各地に26のロケット弾の発射台が準備されている。

 8月の北京は雨が降る確率が高く、開会式および閉会式で雨が降る可能性は五分五分だとみられている。(c)AFP