【6月20日 AFP】欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)は19日、火星への模擬宇宙旅行の実験を行うことを発表、被験者を募った。これは宇宙研究に関する歴史上最も関心の高い実験の1つとされ、6人の「模擬宇宙飛行士」が地球上で17か月間、隔離されたタンク状の部屋で過ごすことになる。

 使用される仮想宇宙船はモスクワの研究所にあり、相互に連結されたモジュールから構成、いったんドアを閉めれば実験参加者は、低速の無線リンク以外、外界との接触をすべて断たれる。

 被験者らは、模擬の緊急事態を経験し、日常業務、実験を行い、トラックのコンテナ9個分に相当するわずか550立方メートルの空間で退屈と戦いながら、間違いなく人間関係のストレスを感じることになる。

 模擬の宇宙管制センターおよび、恋人などと交信するには最大で40分の時差が生じるが、これは地球と火星に到着した宇宙船間を無線信号が飛び交うのにかかる時間に等しく設定されている。

 食べ物は、国際宇宙ステーション(International Space StationISS)で食べられているものと同様のパック詰めされたものが主食になる。

 実験の目的は、宇宙飛行士が火星への宇宙旅行中に体験することになるであろう、精神的苦痛について経験データを取ることである。

 520日間の全面実験は2008年後半か、2009年の始めに行われる予定だが、その前に2度の105日間の実験が2008年の中盤までに始まる予定となっている。(c)AFP