【5月30日 AFP】獲物に向かう軍隊アリの行軍が地面に開いた穴に遭遇すると、群れの一部が身をていして穴をふさぎ、仲間がスピードを緩めることなく前進しその日の仕事を成し遂げられる状態をつくることが、ブリストル大学(University of Bristol)の生物学者、スコット・パウエル(Scott Powell)氏とナイジェル・フランクス(Nigel Franks)氏の研究で明らかになった。研究成果は英国の科学誌「Animal Behaviour」6月号で発表される。

 2人が観察したのは、軍隊アリとして知られるパナマ(Panama)のバーチェルグンタイアリ(Eciton burchellii)。2人は人為的に穴だらけの道を作り、アリがどう対応するかを観察した。

 大きいものは小さいものの50倍の大きさにもなる軍隊アリは、ぴったりの大きさのアリが見つかるまで何度も入れ替わりながら穴をふさいだ。生産性を計測したところ、一部の優秀なアリの自己犠牲的行為によって、その巣穴における1日の獲物の捕獲数は明らかに増加したという。通常の採餌のための「アリの行列」、つまり幅数メートルともなる20万匹の行列の中で7500匹が穴埋め作業に協力すれば、その行軍の1日当たりの捕獲数は最高26%増加することが分かった。

 研究は、少数の丈夫なアリの中でも究極に特殊化したアリがほかの大勢のアリの作業効率を上げる「数少ない量的証拠」と結論づけている。(c)AFP