【7月31日 AFP】居住者がインターネット経由で警報や施錠などを制御できる「スマート」な住宅は、ハッキングのスキルを持った犯罪者たちに玄関の扉を開いていると、コンピューターセキュリティー専門家らが警鐘を鳴らした。

「スマートホームのトレンドは拡大している。セキュリティーの話に急速に展開するだろう」と、セキュリティー企業トラストウェーブ(Trustwave)のダニエル・クローリー(Daniel Crowley)氏は指摘する。

「ネットワークにいろんなモノをつなげることで、多種多様なベクトルからの攻撃が可能になる。ドアの施錠や警報制御が対象となれば、怖い話になる」

 クローリー氏とトラストウェーブの同僚デビッド・ブライアン(David Bryan)氏は、ホームネットワーク機器を調査し、セキュリティーが「かなり貧弱」であることを突き止めたという。

「あなたのホームネットワークに何者かがアクセス可能で、その何者かがあなたの家の鍵を持っていなかったとしても、その何者かはあなたの家のドアの鍵を開け、中に入ることができる」と、クローリー氏は語る。

 トラスウェーブの研究チームは、8月1日に米ラスベガス(Las Vegas)で開かれるコンピューターセキュリティー会議「ブラックハット(Black Hat)」の講演で、この調査結果を発表する。また、今週末にかけて同市で開催される悪名高いハッカーの年次世界大会「デフコン(DefCon)」でも発表する予定だ。

 研究チームが特に懸念しているぜい弱性がある。貧弱なセキュリティーのワイヤレスルーターであれ、コンピューターに仕込んだマルウエア(悪意のあるソフトウエア)を通じてであれ、ハッカーたちがホームネットワークにさえ侵入してしまえば、その後、ハッカーたちは追加のパスワードや認証を求められずにさまざまな機器を操作できてしまうという点だ。

「誰かのローカルネットワークに入る必要があるというのは、想像よりも低いハードルなのだ」と、クローリー氏は指摘する。

 また、スマート住宅の制御を遠隔操作できるスマートフォン(多機能携帯電話)のアプリ提供が流行していることで、スマートフォンに侵入したハッカーたちが住宅の制御の権限を獲得してしまいかねないという。

 さらに、コンピューターの「IPアドレス」から実際の住所を調べる方法も存在するだけでなく、一部のアプリは住所情報なども明らかにしていることが調査で判明した。

「これは、ありふれた犯罪者たちに、これまで不可能だったことをできるようにさせるものにはならなだろう」とクローリー氏は述べた上で、「重大なリスクは、セキュリティー侵害行為によって数十万件規模の住宅にアクセスできるようになる危険性だ。連続犯罪を起こすために何者かが使う攻撃方法になるかもしれない」と警鐘を鳴らした。(c)AFP