「プライバシー」重視する検索サイト、NSA暴露後にアクセス急増
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【6月24日 AFP】米当局による大がかりな監視プログラムの運用が暴露されたことを受け、インターネットユーザーは、オンライン上での行動の追跡やデータの保管を行わない、プライバシーを重視する検索サイトに目を向け始めている──。
米国家安全保障局(National Security Agency、NSA)がアクセスしていたとされるのは、米グーグル(Google)や米ヤフー(Yahoo!)などのインターネット企業のデータだ。
暴露以降もグーグルの市場シェアは目立った落ち込みを見せていない。ただ、米検索サイト「DuckDuckGo」や欧州検索サイトIxquickには、オンライン上の行動をできる限り追跡されたくないユーザーからのアクセスが急増している。
DuckDuckGoは、IPアドレスを保管せず、ユーザーのプロフィールも作成しない検索エンジンで、2007年に立ち上げられた。サイト創設者のガブリエル・ワインバーグ(Gabriel Weinberg)氏は、「人々はプライバシー重視の代替手段を求めていると思う」と話す。
米当局者らは、収集したデーターがグローバルテロリズムと戦うために不可欠だと述べる。しかし同じデータとプロフィールは、検索エンジンが広告の配信に利用することができるだけでなく、外部に販売することも可能だ。
ワインバーグ氏は、「検索エンジンに入力する内容は、利用者の最もパーソナルなものだ」と述べ、また「検索エンジンがあなたのことをこれほどまでに知ることができるのは、少し気味が悪いものだよ」と続けた。
■プライバシー重視でアクセス急増、「人々は目が覚めた」
今月、米政府のPRISM監視プログラムについて報じられて以降、DuckDuckGoのアクセス数は急増し、20日には前年に比べて約2倍となる300万件近い検索件数を記録した。
オランダを拠点とするIxquickと、同サイトが運営する別サイトのStartPageでもPRISMの報道以降、アクセスが急増している。両サイトとも、グーグルなどの検索サイトの検索結果からユーザー識別情報を削除するメタ検索エンジンだ。報道以降、最高で360万件の検索件数を記録したという。
Ixquick広報担当者は「成長は持続的で、減速する兆候が見られない」と述べ、PRISMの暴露で「人々は本当に目が覚めた」と語った。「人々はプライバシーについてのメッセージは聞いていたが、実際に自分とどう関係があるのかをはっきり理解できていなかった」
DuckDuckGoのワインバーグ氏は、DuckDuckGoモデルでもユーザープロフィールの保管なしに「キーワード」広告で収益を上げられると語る。例えば、誰かが「住宅ローン」と検索ワードを入力した時にのみ、銀行の広告が表示されたりする。
これは、人々の訪問履歴を追跡して、関連広告を表示する「リターゲティング」と呼ばれる手法とは異なる。「リターゲティングはごく限られた少数の人々にしか効果が無く、大半の人は単に不愉快に感じている」とワインバーグ氏は指摘した。
■プライバシー重視は数年では主流にならない、業界筋の予測
検索エンジンに関連したニュースなどの専門サイト「サーチエンジン・ランド(Search Engine Land)」のダニー・サリバン(Danny Sullivan)編集長は、このような検索エンジンは「興味深い」ものの、市場への影響は大きなものにならないだろうと語る。「今後3~5年間でこれら参入者のどこかがグーグルから大きなシェアを奪う可能性は、極めて低い」
米調査会社コムスコア(comScore)によると、米国市場ではグーグルがシェアの66.5%を占め、マイクロソフト(Microsoft)が17.3%、ヤフーが12%と続いている。
サリバン氏は、NSA監視のニュースが一般の利用者を「怖がらせているようには、これまでのところ見えない」と語る。
一方で同氏は、グーグルが利用者にプロフィールの作成を強要していないことを指摘した。
「グーグルのサイトでは、ログインしないで検索することも出来る。結果も非常に良い。ログインした状態で利用すれば、DuckDuckGoなど足下にも及ばないだろう。利用者のカレンダーや検索履歴にアクセスできるのであれば、グーグルは利用者が問いかける前に、回答を予測することすら可能だ」と、サリバン氏は語った。(c)AFP/Rob Lever
米国家安全保障局(National Security Agency、NSA)がアクセスしていたとされるのは、米グーグル(Google)や米ヤフー(Yahoo!)などのインターネット企業のデータだ。
暴露以降もグーグルの市場シェアは目立った落ち込みを見せていない。ただ、米検索サイト「DuckDuckGo」や欧州検索サイトIxquickには、オンライン上の行動をできる限り追跡されたくないユーザーからのアクセスが急増している。
DuckDuckGoは、IPアドレスを保管せず、ユーザーのプロフィールも作成しない検索エンジンで、2007年に立ち上げられた。サイト創設者のガブリエル・ワインバーグ(Gabriel Weinberg)氏は、「人々はプライバシー重視の代替手段を求めていると思う」と話す。
米当局者らは、収集したデーターがグローバルテロリズムと戦うために不可欠だと述べる。しかし同じデータとプロフィールは、検索エンジンが広告の配信に利用することができるだけでなく、外部に販売することも可能だ。
ワインバーグ氏は、「検索エンジンに入力する内容は、利用者の最もパーソナルなものだ」と述べ、また「検索エンジンがあなたのことをこれほどまでに知ることができるのは、少し気味が悪いものだよ」と続けた。
■プライバシー重視でアクセス急増、「人々は目が覚めた」
今月、米政府のPRISM監視プログラムについて報じられて以降、DuckDuckGoのアクセス数は急増し、20日には前年に比べて約2倍となる300万件近い検索件数を記録した。
オランダを拠点とするIxquickと、同サイトが運営する別サイトのStartPageでもPRISMの報道以降、アクセスが急増している。両サイトとも、グーグルなどの検索サイトの検索結果からユーザー識別情報を削除するメタ検索エンジンだ。報道以降、最高で360万件の検索件数を記録したという。
Ixquick広報担当者は「成長は持続的で、減速する兆候が見られない」と述べ、PRISMの暴露で「人々は本当に目が覚めた」と語った。「人々はプライバシーについてのメッセージは聞いていたが、実際に自分とどう関係があるのかをはっきり理解できていなかった」
DuckDuckGoのワインバーグ氏は、DuckDuckGoモデルでもユーザープロフィールの保管なしに「キーワード」広告で収益を上げられると語る。例えば、誰かが「住宅ローン」と検索ワードを入力した時にのみ、銀行の広告が表示されたりする。
これは、人々の訪問履歴を追跡して、関連広告を表示する「リターゲティング」と呼ばれる手法とは異なる。「リターゲティングはごく限られた少数の人々にしか効果が無く、大半の人は単に不愉快に感じている」とワインバーグ氏は指摘した。
■プライバシー重視は数年では主流にならない、業界筋の予測
検索エンジンに関連したニュースなどの専門サイト「サーチエンジン・ランド(Search Engine Land)」のダニー・サリバン(Danny Sullivan)編集長は、このような検索エンジンは「興味深い」ものの、市場への影響は大きなものにならないだろうと語る。「今後3~5年間でこれら参入者のどこかがグーグルから大きなシェアを奪う可能性は、極めて低い」
米調査会社コムスコア(comScore)によると、米国市場ではグーグルがシェアの66.5%を占め、マイクロソフト(Microsoft)が17.3%、ヤフーが12%と続いている。
サリバン氏は、NSA監視のニュースが一般の利用者を「怖がらせているようには、これまでのところ見えない」と語る。
一方で同氏は、グーグルが利用者にプロフィールの作成を強要していないことを指摘した。
「グーグルのサイトでは、ログインしないで検索することも出来る。結果も非常に良い。ログインした状態で利用すれば、DuckDuckGoなど足下にも及ばないだろう。利用者のカレンダーや検索履歴にアクセスできるのであれば、グーグルは利用者が問いかける前に、回答を予測することすら可能だ」と、サリバン氏は語った。(c)AFP/Rob Lever