【6月14日 AFP】欧州連合(EU)は13日、自動車事故の際に救急隊が一刻も早く現場へ急行するために、2015年までに自動緊急通報システム「eCall(イーコール)」を全乗用車に装備する方針を発表した。

 欧州委員会のシーム・カラス(Siim Kallas)委員(運輸担当)は会見で「事故は一刻一秒を争う」と述べ、事故発生時に車が自動的に通報できるようにするための新たな法律の制定を呼び掛け、「今日の提起はEU圏の道路をより安全にするための足がかりだ」と述べた。

 2012年、EU圏内の交通事故による死者は2万8000人、負傷者は150万人だった。欧州委員会(European Commission)はeCallの導入によって、緊急時の対応が都市部では40%、地方部では50%迅速化することが可能となり、年間2500人の命を救うことができるとしている。

 eCallのシステムは「重大事故」が起きると、運転者が意識を失ったり電話をかけられない場合でも、EU圏共通の緊急通報用番号である112番に自動的に通報し、自動車の位置情報を知らせる。

 欧州委員会はここ数年にわたってeCallの導入を目指してきた。必要コストは自動車1台につき100ユーロ(約1万3000円)程度が見込まれる。しかし現在、自動緊急通報が装備されているのは域内の乗用車全体の1%に満たず、また必ずしもEU圏全体で運営されている状態ではない。(c)AFP