【6月11日 AFP】グーグル(Google)からフェイスブック(Facebook)、ヤフー(Yahoo!)、ジンガ(Zynga)まで、インターネット大手各社は、人々が従来のPCに代わりスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末からオンラインにアクセスしている現状に適応すべく全力を注いでいる──。

■モバイルアプリ対応急ぐ業界

 フェイスブック上で遊べるゲームを作り注目を浴びたソーシャルゲームの草分け的存在のジンガは、携帯端末向けのゲームに集中するため、従業員5分の1近くを削減する計画だ。ジンガはこれまで、PCブラウザ向けのゲームに主軸を置いていた。

 昨年ヤフーの最高経営責任者(CEO)に就任した元グーグル幹部のマリッサ・メイヤー(Marissa Mayer)氏は、スマートフォンとタブレットでの最適化を優先するとの方針転換を示した。

 また、昨年上場したフェイスブックの株価の低迷は、フェイスブックに携帯端末からアクセスするユーザーが増えているにもかかわらずそのチャンスを生かすツールが欠けていることへの懸念が、大きな要因となったとされている。

 一方でグーグルは、携帯端末用基本ソフト(OS)のアンドロイド(Android)を開発、配布することで、その先見性を証明した。

 米調査会社ガートナー(Gartner)のアナリスト、バン・ベーカー(Van Baker)氏によれば、人々が従来型のウェブサイトから携帯端末用アプリ(app)に「積極的」に移行していることを業界データは示しているという。

■行動パターンの変化

 ネットユーザーが利用する端末の変化とともに、人々の行動パターンにも変化は見られる。

 ガートナーの調査によれば、従来のPCでインターネットを利用する人は1日平均4回インターネットにアクセスし、1回のアクセスの長さがおよそ35分だった。それに対し、スマートフォン利用者は1日平均20回アクセスし、1回のセッションの長さはおよそ1分だった。

「提供する体験は、2クリックまでで1分間で終わる必要がある。それ以上時間がかかるようであれば、ユーザーは去ってしまう。スマートフォンにおける行動パターンはノートPCと劇的に異なる。これは大きな課題だ」と、ベーカー氏は指摘する。

 さらにスマートフォンは特に画面サイズが小さいため、ユーザーが画面の広告表示にいらだつ可能性も高まる。

 携帯端末は位置情報、カレンダー情報、その他の文脈情報をサービスに読み込ませ、人々が望む情報を、適切なタイミング、しかるべき場所で提供することが可能だ。

「(サービスを)適切に提供できる、あるいは役立つように提供できる機会は、文脈情報の取得により大幅に増している」と、調査会社フォレスター(Forrester)のアナリスト、チャールズ・ゴルビン(Charles Golvin)氏は語る。

「見る人の邪魔になるような旧来型マーケティングのうっとうしいアプローチを採用すれば、潜在的な関係性を損なう可能性は大幅に高まるだろう」

■アプリの「賞味期限」

 フェイスブック上で遊べるゲームを開発して注目を集めたジンガだが、アプリを長く愛好するユーザーの数は減り続けており、常にヒット作品を提供しなければならないという課題に直面しているという。

 ガートナーによれば、携帯アプリを発表時にダウンロードした人の大半は、3か月以内にアプリを削除している。

「(ジンガの人気ゲームである)ファームヴィル(FarmVille)やドローサムシング(Draw Something)の寿命は、モバイルワールドにおいて、ますます短くなるかもしれない」とゴルビン氏は語る。「人々はゲームがヒットするとそれで遊び、そして次のヒットが来てまたそれに時間を費やすようになる」

(c)AFP/Glenn Chapman