【5月10日 AFP】(一部更新)米ニューヨーク(New York)のブルックリン(Brooklyn)地区連邦地検は9日、デビットカードの情報を処理する会社のシステムに侵入し、カードの引き出し限度額を操作して現金自動預払機(ATM)から総額4500万ドル(約45億円)を盗み出した国際サイバー窃盗団のメンバー8人を、アクセス装置を利用した詐欺と資金洗浄(マネーローンダリング)の罪で訴追したと発表した。

 検察発表によると、このサイバー窃盗団は世界26か国にメンバーがおり、今回の訴追対象はニューヨークのグループのメンバーとされる8人。うち7人は当局が身柄を拘束したが、リーダーとみられる男は2週間前に殺害された模様だという。

■「21世紀型の銀行強盗」

 ロレッタ・リンチ(Loretta Lynch)連邦検事は、声明で「被告らとその共謀者らは、インターネットと地球を股に掛けた大規模な21世紀型の銀行強盗を実行した。銃や覆面の代わりに、ノートパソコンとインターネットを使った」と指摘した。

 犯行は昨年12月22日と今年2月19~20日の2回にわたって行われ、いずれも「数時間以内に」大量の金を盗み出していたという。

 洗練された犯行の手口は次のようなものだ。窃盗団はまず、カード情報を処理する複数のコンピューターネットワークに数か月かけて侵入。企業や支援団体が利用することの多いプリペイド式デビットカードのデータベースに不正アクセスし、銀行が設定した引き出し限度額を解除したとされる。

 続いて、ハッカーらがデビットカードの番号と暗証番号を入手し「キャッシャー」と呼ばれるメンバーに渡す。キャッシャーは入手したカード情報を磁気ストライプ式カードに複写し、このカードを手に街中のATMを回って、ありったけの現金を引き出していったという。

■20か国以上のATMから数万回引き出し

 昨年12月の1回目の犯行では、アラブ首長国連邦(UAE)のRAKABANKが標的になった。窃盗団は約20か国のATMからおよそ4500回にわたって現金を引き出し、総額500万ドル(約5億円)相当を盗んだという。

 米検察当局によると、今年2月の2回目の犯行ではオマーンのマスカット銀行(Bank of Muscat)が標的となり、24か国で10時間以内に計3万6000回もの引き出しがあった。被害額は計4000万ドル(約40億円)に上るという。

 ニューヨークのグループは最初の犯行で40万ドル(約4000万円)を、2回目の犯行ではATMから約3000回にわたって240万ドル(約2億4000万円)を盗み出したという。(c)AFP/Sebastian Smith