昆虫をまねた複眼レンズのカメラを開発、米研究チーム
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【5月3日 AFP】自然界からヒントを得て、ハエの複眼のように広角でゆがみのない画像を取り込む、伸縮自在な電子部品を使用したデジタルカメラを開発したと、米研究チームが1日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。
米イリノイ大学(University of Illinois)などの研究チームによると、このデジタルカメラは、アリ、甲虫、エビなどの目が持つような柔軟性のある極小レンズを多数備えており、ほぼ無限の被写界深度と高い動作感度を実現しているという。
従来型カメラのほとんどは、ほ乳類などの目をまねた「単レンズ方式」を採用している。物体で反射した光はレンズを通過して曲げられ、目の裏側にある網膜上で焦点を結ぶ。光は網膜の神経細胞で電気刺激に変換されて脳に送られ、画像が形成される。単レンズ方式では視野に限界があるが、「個眼」と呼ばれる小さな目が多数集まってできた目を持つ昆虫などは、世界がパノラマで見える。
魚眼レンズのような従来型の広角カメラレンズでは、湾曲したレンズ表面から入射する光を平らな受光器で捕捉することで光にずれが生じるため、画像の周縁部にゆがみが発生する。受光器に使われている電子部品のほとんどは壊れやすいシリコン(ケイ素)でできているため、曲げることができない。
研究チームは、レンズと同じ半球状に湾曲させることが可能な伸縮自在の電子部品を新たに開発してカメラの受光器に使用し、このゆがみを解消した。カメラは直径約1.5センチで、極小レンズを180個備え、各レンズには専用の受光器が付いている。このレンズ数は、カミアリの仲間やキクイムシなどの複眼とほぼ同じ。電子部品とレンズは、どちらも製造時は平らな状態になっているため、既存の方法で製造が可能だ。
研究チームは、この技術は監視カメラや内視鏡撮影などに役立つのではないかと述べている。(c)AFP
米イリノイ大学(University of Illinois)などの研究チームによると、このデジタルカメラは、アリ、甲虫、エビなどの目が持つような柔軟性のある極小レンズを多数備えており、ほぼ無限の被写界深度と高い動作感度を実現しているという。
従来型カメラのほとんどは、ほ乳類などの目をまねた「単レンズ方式」を採用している。物体で反射した光はレンズを通過して曲げられ、目の裏側にある網膜上で焦点を結ぶ。光は網膜の神経細胞で電気刺激に変換されて脳に送られ、画像が形成される。単レンズ方式では視野に限界があるが、「個眼」と呼ばれる小さな目が多数集まってできた目を持つ昆虫などは、世界がパノラマで見える。
魚眼レンズのような従来型の広角カメラレンズでは、湾曲したレンズ表面から入射する光を平らな受光器で捕捉することで光にずれが生じるため、画像の周縁部にゆがみが発生する。受光器に使われている電子部品のほとんどは壊れやすいシリコン(ケイ素)でできているため、曲げることができない。
研究チームは、レンズと同じ半球状に湾曲させることが可能な伸縮自在の電子部品を新たに開発してカメラの受光器に使用し、このゆがみを解消した。カメラは直径約1.5センチで、極小レンズを180個備え、各レンズには専用の受光器が付いている。このレンズ数は、カミアリの仲間やキクイムシなどの複眼とほぼ同じ。電子部品とレンズは、どちらも製造時は平らな状態になっているため、既存の方法で製造が可能だ。
研究チームは、この技術は監視カメラや内視鏡撮影などに役立つのではないかと述べている。(c)AFP