【4月2日 AFP】腕時計型の多機能情報端末「スマートウオッチ」をめぐるさまざまな臆測が飛び交っているが、「そろそろ出るはず」との見方においては、ほぼ一致しているようだ。一部メディアではここ最近、米アップル(Apple)、グーグル(Google)、韓国のサムスン電子(Samsung Electronics)などの大手メーカーが年内にもスマートウオッチを市場に投入すると報じられていた。

 調査会社カレント・アナラシス(Current Analysis)のコンシューマー機器担当アナリスト、アビ・グリーンガート(Avi Greengart)氏は、2013年はスマートウオッチの年になると断言している。全般的にデバイスの小型化と低価格化が進み、大多数の消費者がウェアラブル(装着可能な)デバイスと接続することのできるスマートフォン(多機能携帯電話)を保有していることがその理由だという。

■求められる新たな市場の開拓

 通信機能を備えた腕時計という発想は、少なくとも10年前には既に存在しており、実際に米マイクロソフト(MicrosoftMS)も製品化していた。ソニー(Sony)や伊メーカーi'mPebbleなどもある。

 これまでのスマートウオッチの機能といえば、ワイヤレスホン機能、新着メッセージ通知機能、限定的ながらもインターネットアクセス機能などがあった。だがひとたびスマートウオッチの人気に火がつけば、メーカー側もより多くの機能を持たせた製品を打ち出してくるだろう。多くのスマートフォンに取り入れられている健康管理アプリなどがいい例だと専門家らは指摘する。

 各メーカーには自社製品の有益性を消費者にアピールすることがまず求められるが、アップルのような超大手の新規参入で、スマートウオッチの人気は確固たるものと成り得ると話すグリーンガート氏。スマートウォッチの市場については「(新たに)作り出す必要がある市場」とも述べた。

 例のごとくアップルはスマートウオッチ開発についても沈黙を守っているが、インターネット上ではアップル製スマートウオッチをめぐる臆測が絶えない。透明でブレスレット型の「iWatch」なる製品の写真まで出回るほどだ。

 米調査会社ABI Researchのジョシュ・フラッド(Josh Flood)氏は、アップルのスマートウオッチについて注目すべき点は、iPhoneと補完しあう製品なのか、それとも健康や運動管理機能などを持つ、単独で用いる製品なのかという点が重要であると述べた。

 他方、グーグルが開発したメガネ型インターネット機器「グーグル・グラス(Google Glass)」など競合するウェアラブルデバイスもあることから、スマートウオッチの一人勝ちという訳にはいかないとの見方もある。

 調査会社IDCのアナリスト、ダニエル・レビタス(Danielle Levitas)氏は、スマートウオッチとその他すべてのウェアラブルデバイスには需要があると述べる。シチュエーションによっては、端末を取り出さずに通話したり、オンラインでつながることが望まれるためだ。

■「見た目」も大切

 だが消費者のニーズを見極めるには、まだ時間が必要なようだ。

   「あらゆる機能をすべて備えた端末か、それともスマートフォンに接続できる低価格な端末か、二者択一となる」とレビタス氏は話す。レビタス氏によれば多機能で単独使用型のスマートウオッチならば価格は300ドル(約2万8000円)以上となるが、データチャージやスマートフォンと接続して使うタイプなら100ドル(約9400円)程度となることが予想できるという。

 さらに、ディスプレーサイズでも各メーカーは気を配る必要がありそうだ。利便性を確保しながら、「見た目」も重要とレビタス氏は指摘する。この点においては、男性向けよりも女性向け製品の方が難しくなりそうだ。いくら使いやすいサイズでも見た目が悪くては、限られた消費者のみをターゲットにすることになるからだ。(c)AFP/Rob Lever