【3月10日 Relaxnews】それは何の変哲もない座り心地が良さそうな黒い椅子で、テレビの前で数時間くつろぐには申し分ないように見える。

 しかし世界最大の情報技術見本市「CeBIT」の展示品とあれば、そうそう見た目通りとはいかない。この一見普通の椅子は、高齢化が進むドイツなどの先進国で、高齢者のための看護師やフィットネスコーチの役割も果たすとされるスゴい椅子なのだ。

 椅子には高度なインテリジェントセンサーが装備され、ユーザーの体重や血圧、心拍数、姿勢といったデータを記録し、一定期間にわたってバイタルサイン(生体情報)のデータベースを構築する。

 もしユーザーの体重が若干増えたとの情報を読み取った場合、椅子はフィットネスコーチのモードに切り替わり、エクササイズを提案。快適なアームレストが本格的なローイング(ボート漕ぎ)マシンに早変わりし、ユーザーは大画面の映像に合わせ、ボートを漕いで川を下るような要領で身体を動かすことができる。

 フラウンホーファー研究所(Fraunhofer Institute)のSven Feilner氏は自身でデモンストレーションを行いながら、「このモードでもユーザーが適切に運動していなければ、センサーがバイタルサインを全て記録し、健康アシスタント機能が注意を与える」と説明した。
 
 椅子は他のユーザーとリンクして「対戦」したり、単に個々のユーザーに適したフィットネスプログラムに沿って運動したりする使い方で、椅子を健康管理に役立てることができるという。(c)Relaxnews/AFPBB News