【1月18日 AFP】米国のソフトウエアエンジニアの男性が、就業時間中に自分の担当の仕事を中国企業に外部委託し、何食わぬ顔で会社のデスクでネコ動画を見ていたという「情報化時代の職場の伝説」が17日、インターネット上で話題となった。

「ボブ(Bob)」と呼ばれるこのエンジニアの話は、米通信大手ベライゾン(Verizon)のセキュリティー担当チームのアンドリュー・バレンティン(Andrew Valentine)氏が、2012年に同社調査員が遭遇した最も「思い出深い」ケースとしてブログで紹介したもの。米国内に拠点を置くある企業のネットワークに中国からセキュリティー保護された謎の接続があり、調査を進めるうち、「ボブ」が仕事をサボるため中国のコンサルティング会社に自分の業務を委託していたことが発覚したという。

「ボブ」の年収は数十万ドル(数千万円)だったが、委託先の中国企業には年間契約で約5万ドル(約450万円)しか支払っていなかった。他の企業でも同じ手口を繰り返していたことを示す証拠も見つかっているという。

「何といってもすごいのは、ボブがここ数年ずっと素晴らしい評価を受けていた点だ。彼のコードはきれいで、整っていて、納期も守られていた」(バレンティン氏)。「ボブ」は四半期毎の査定で「社内で最も優秀な開発者」と評価されていたという。

 ベライゾンの調査結果によると「ボブ」は、勤め先の社内ネットワークに中国のコンサル会社がアクセスできるよう手配した上で出社し、デスクに座ってさも仕事をしているかのように装っていた。

 ウェブサイトの閲覧記録から、「ボブ」の会社での典型的な1日は次のようなものだったことが分かっている。朝から昼休みにかけてはソーシャルニュースサイト「Reddit(レディット)」やネコ動画などを見て過ごす。午後は競売サイト「イーベイ(eBay)」を眺めたり、交流サイトのフェイスブック(Facebook)やリンクトイン(LinkedIn)などで時間をつぶす。そして、退社前に電子メールでプロジェクトの進捗状況を上司に報告し、日々の「勤務」を終えていた。

 ベライゾンは「ボブ」の本名や勤め先の会社名を明かしていないが、その人柄については、おとなしく静かで家庭的な40代半ばの男性と説明している。会社には長く勤めており、「エレベーターで一緒になっても二度見はしない」タイプの男性だという。(c)AFP