【9月13日 AFP】米アップル（Apple）は12日、サンフランシスコ（San Francisco）で開いたイベントで新型スマートフォン「iPhone 5」を発表した。厳しい競争が続くスマートフォン市場で、アップルが主導的地位にあることを示そうとの戦略だ。

　アップルによれば、iPhone 4Sより18％薄く、20％軽いiPhone 5は「世界で最も薄いスマートフォン」だという。同社のティム・クック（Tim Cook）最高経営責任者（CEO）は「iPhone発売以来、iPhoneに起きた最大の出来事」と評した。

　サンフランシスコのイベントに登場したフィル・シラー（Phil Schiller）上級副社長は、従来機種よりも縦長になったiPhone 5について、ユーザーの手のひらにぴったりと収まって親指で自然に操作できるうえ、高速モバイルインターネット網「LTE」にも対応していると説明した。

　ディスプレーのサイズは4インチ（約10センチ）で、従来のiPhoneよりもやや大きめ。プロセッサには新開発の「A6」を採用し、シラー氏によるとウェブのグラフィックスをダウンロードする速度が2倍になったという。

　バッテリー駆動時間は、携帯電話回線使用時で8時間、Wi-Fi接続時で10時間に伸びた。基本ソフト「iOS」にはアップル独自の地図ソフト、音声で操作するパーソナルアシスタント機能「Siri（シリ）」の改良版、SNSサイト、フェイスブック（Facebook）の機能も盛り込んだ。

　アップルは14日に予約の受け付けを始め、9月21日に米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、香港（Hong Kong）、シンガポール、日本で発売する。年内に100か国で利用できるようにする計画。価格は2年契約で199ドル（約1万5000円）から。

　この日のイベントでは携帯音楽プレーヤーiPod touch、iPod nanoの新機種も発表された。

■売れ行きの見通しは？

　モルガン・スタンレー（Morgan Stanley）のアナリスト、ケイティ・ヒュバーティ（Katy Huberty）氏は、iPhone各機種の合計出荷台数は、今年の第4四半期は4800万～5300万台、2013年は通年で2億6600万台に上る可能性があると言う。

　しかし、米調査会社NPDグループ（NPD Group）のアナリスト、スティーブン・ベイカー（Stephen Baker）氏は、成熟してきている米国のスマートフォン市場でアップルは既にかなり大きなシェアを持っているため、アップルが新製品で他社からシェアを奪うことは難しくなっているだろうと指摘した。(c)AFP/Glenn Chapman