アップル勝訴でアンドロイドは失速するか?スマホ業界再編の可能性は
このニュースをシェア
【8月28日 AFP】米アップル(Apple)は先日、スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット型端末の技術をめぐる米国での特許訴訟で韓国サムスン電子(Samsung Electronics)に圧勝した。この結果は、競争が激化するスマホ市場の勢力地図を塗り替えるかもしれない。市場を席巻しつつあった米グーグル(Google)の基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)」の勢いが削がれる可能性があると、専門家らは指摘する。
米カリフォルニア(California)州北部連邦地裁の陪審は24日、サムスン電子がアップルの特許を侵害したと認め、10億ドル(約790億円)以上の賠償金を支払うようサムスン側に命じる評決を下した。グーグルは訴訟当事者ではなかったが、裁判の焦点となったのは同社のアンドロイドOSだ。アップルの共同創設者、故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏はかつてアンドロイドを「(アイデアを)盗んだ」製品だと批判している。
アップルとサムスンの一連の特許訴訟合戦で争われている技術の中には、アンドロイド端末に採用されている画面のスクロールや拡大縮小の際の「バウンスバック(跳ね返り)」機能が含まれている。「アップルの特許を侵害しないように再設計が必要になるため、アンドロイド製品は『リセット』を強いられることになるだろう」と、米調査会社エンダール・グループ(Enderle Group)の技術アナリスト兼顧問、ロブ・エンダール(Rob Enderle)氏は分析する。
■マイクロソフトとRIMに追い風か
一方、今回の訴訟で「得をする」企業も多いだろうともエンダール氏は指摘する。たとえば、携帯端末市場で遅れをとった米マイクロソフト(Microsoft、MS)や、アンドロイドの普及で最も打撃を受けたスマートフォン「ブラックベリー(Blackberry)」の製造元リサーチ・イン・モーション(Research In Motion、RIM)などだ。
エンダール氏の見立てでは、米訴訟結果は「特にMSの新プラットホーム『ウィンドウズ8(Windows 8)』と『ウィンドウズフォン8(Windows Phone 8)』にはまたとないチャンスとなるはず」だ。アップルの訴訟対象から外れているため、端末機器メーカーにとって「(アンドロイドより)ずっと安全で、恐らく市場に打って出るのに最短の選択肢」となったからだ。
またRIMについても、「アップルの訴訟を未然に防ぐのに十分な特許を保有していると考えられる。買収対象としての魅力はぐっと増すだろう」という。
ここ数か月の米スマホ市場では、アンドロイド端末がシェア50%以上を獲得する一方、アップルは30%、RIMは12%と後塵を拝していた。
■販売差し止めとなるか、審判の日は9月20日
ただ、サムスン側は控訴する構えで、市場再編のゆくえは今後の裁判次第だ。
ルーシー・コー(Lucy Koh)判事が陪審評決をくつがえしたり修正する可能性はあるのか、賠償金を3倍にする「懲罰的損害賠償」を認めるのか、サムスン製品の販売差し止めを命じるのか――これらを決める審理は9月20日に開かれる。最大のポイントは、アップルが本案的差し止め命令を獲得して、特許違反に該当するサムスン製品を販売中止に追い込めるかどうか、そしてこの差し止め命令が控訴裁判中にも有効と認められるかどうか、の2点になるだろう。
特許法に詳しいミズーリ州立大学(University of Missouri)のデニス・クラウチ(Dennis Crouch)氏は、サムスンの対応についてこう解説する。「サムスンは差し止め命令が出た場合の対策を既に立てている。特許違反とされた製品の販売を中止して、まだ違反と認定されていない製品に置き換える準備は済んでいるに違いない」
仮にそうなれば、新たな法廷闘争が幕を開けるだろう。アップルは、サムスンの新型携帯端末をめぐっても同社を訴えている。そしてサムスン側は米国で歴史的な敗北を喫した後も、「この評決が認められれば選択肢が少なくなり、革新が減り、価格上昇を招きかねない」として、法廷闘争を継続する意志を表明している。(c)AFP/Rob Lever
米カリフォルニア(California)州北部連邦地裁の陪審は24日、サムスン電子がアップルの特許を侵害したと認め、10億ドル(約790億円)以上の賠償金を支払うようサムスン側に命じる評決を下した。グーグルは訴訟当事者ではなかったが、裁判の焦点となったのは同社のアンドロイドOSだ。アップルの共同創設者、故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏はかつてアンドロイドを「(アイデアを)盗んだ」製品だと批判している。
アップルとサムスンの一連の特許訴訟合戦で争われている技術の中には、アンドロイド端末に採用されている画面のスクロールや拡大縮小の際の「バウンスバック(跳ね返り)」機能が含まれている。「アップルの特許を侵害しないように再設計が必要になるため、アンドロイド製品は『リセット』を強いられることになるだろう」と、米調査会社エンダール・グループ(Enderle Group)の技術アナリスト兼顧問、ロブ・エンダール(Rob Enderle)氏は分析する。
■マイクロソフトとRIMに追い風か
一方、今回の訴訟で「得をする」企業も多いだろうともエンダール氏は指摘する。たとえば、携帯端末市場で遅れをとった米マイクロソフト(Microsoft、MS)や、アンドロイドの普及で最も打撃を受けたスマートフォン「ブラックベリー(Blackberry)」の製造元リサーチ・イン・モーション(Research In Motion、RIM)などだ。
エンダール氏の見立てでは、米訴訟結果は「特にMSの新プラットホーム『ウィンドウズ8(Windows 8)』と『ウィンドウズフォン8(Windows Phone 8)』にはまたとないチャンスとなるはず」だ。アップルの訴訟対象から外れているため、端末機器メーカーにとって「(アンドロイドより)ずっと安全で、恐らく市場に打って出るのに最短の選択肢」となったからだ。
またRIMについても、「アップルの訴訟を未然に防ぐのに十分な特許を保有していると考えられる。買収対象としての魅力はぐっと増すだろう」という。
ここ数か月の米スマホ市場では、アンドロイド端末がシェア50%以上を獲得する一方、アップルは30%、RIMは12%と後塵を拝していた。
■販売差し止めとなるか、審判の日は9月20日
ただ、サムスン側は控訴する構えで、市場再編のゆくえは今後の裁判次第だ。
ルーシー・コー(Lucy Koh)判事が陪審評決をくつがえしたり修正する可能性はあるのか、賠償金を3倍にする「懲罰的損害賠償」を認めるのか、サムスン製品の販売差し止めを命じるのか――これらを決める審理は9月20日に開かれる。最大のポイントは、アップルが本案的差し止め命令を獲得して、特許違反に該当するサムスン製品を販売中止に追い込めるかどうか、そしてこの差し止め命令が控訴裁判中にも有効と認められるかどうか、の2点になるだろう。
特許法に詳しいミズーリ州立大学(University of Missouri)のデニス・クラウチ(Dennis Crouch)氏は、サムスンの対応についてこう解説する。「サムスンは差し止め命令が出た場合の対策を既に立てている。特許違反とされた製品の販売を中止して、まだ違反と認定されていない製品に置き換える準備は済んでいるに違いない」
仮にそうなれば、新たな法廷闘争が幕を開けるだろう。アップルは、サムスンの新型携帯端末をめぐっても同社を訴えている。そしてサムスン側は米国で歴史的な敗北を喫した後も、「この評決が認められれば選択肢が少なくなり、革新が減り、価格上昇を招きかねない」として、法廷闘争を継続する意志を表明している。(c)AFP/Rob Lever