【5月22日 AFP】英国人の半数以上が同僚や上司、友人への復讐(ふくしゅう)を企てたことがあるとみられることが最新の調査で明らかになった。そのほとんどがフェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)を復讐の手段に用いていた。直接、顔を合わせずに済むSNSが「復讐」を容易にしているようだ。

 この調査は、南北戦争後の米国を舞台に妻を殺された主人公の復讐劇を描いた米テレビ西部劇「Hell on Wheels」の英国放映に合わせ、英国内の2000人を対象に実施したもの。

 調査によると、調査対象の52%が現在、なんらかの復讐を考えていると答えた。復讐する対象は同僚が最も多く、次いで友人、上司となっている。また、回答者の38%が、すでに復讐が進行中だと答えた。最も好まれる復讐の舞台はフェイスブックやツイッターなどの交流サイトなどで、回答者の半数は多くの復讐がフェイスブック上でなされていると思うと回答した。

 一方、こうしたユーザーの復讐欲を駆り立てる責任は交流サイト側にあるとの回答は69%に上り、13%が著名人に非倫理的な行為があった場合は交流サイト上で非難されても当然だと答えた。復讐の動機として最も多かったのは「不倫」(全体の3分の1)。次いで「うそをつく」(19%)、「盗み」(9%)となっている。

■調査結果に意外感はないが末恐ろしいと専門家

 調査結果について英シティ大学ロンドン(City University London)のフランク・ウェブスター(Frank Webster)教授(社会学)は、「確かに懸念すべき傾向だが、驚くべき結果でもない」と語る。「人の心の底にはこみあげる怒りが鬱積(うっせき)していることは以前から分かっていた。同僚にいらいらし、政治家に不満がたまり、銀行に腹をたて、有名人をねたむ。われわれの誰にも、はらわたが煮え返る瞬間があるものだ」

 ウェブスター教授によれば、これまでは怒りの感情を押さえつける、小声で愚痴を言う、ひそかにのろいの言葉を吐く、空想の世界で復讐するなどの行為にとどめてきた。だが、交流サイトの登場で怒りを行動に移すことが容易になったという。相手と顔を合わせて対決する必要もなく、キーボードで中傷の言葉を打つだけで即、復讐は完了だ。

 実際、回答者の57%が、直接、相手に復讐するよりもネット上での復讐の方が簡単だと答えている。また、22%が復讐の手段にフェイスブックを選ぶだろうと回答した。

 一方、18~35歳の回答者の28%が、交流サイト上に自身の恥ずかしい写真を投稿されたら仕返しすると答え、18~24歳の回答者の14%が、誰かからフェイスブックの友人リストから削除されたら、その人から口をきかれなくなるよりも気分を害するだろうと答えた。

 ウェブスター教授は、こうした結果は「背筋が寒くなる」と話す。「調査結果からうかがわれる通りにオンライン技術によって復讐が容認される度合いが高まっているならば、急速にネットワーク化が進む世界の行く末は恐ろしい」

(c)AFP