【5月16日 AFP】18日にハイテク株中心の米ナスダック(NASDAQ)市場に上場するとみられている交流サイト(SNS)最大手フェイスブック(Facebook)のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)に対し、米アップル(Apple)の共同創業者スティーブ・ウォズニアック(Steve Wozniak)氏が豪紙を通じ、上場に際しての注意点を忠告した。

 フェイスブックは公開価格を1株当たり28ドル~35ドル(約2250~2810円)に設定していたが、投資家の需要が多いため15日になって34~38ドル(約2730~3050円)に引き上げた。時価総額は最大1040億ドル(約8兆3600億円)に達するとみられ、米インターネット企業の新規株式公開(IPO)時の時価総額としては、2004年のグーグル(Google)の230億ドル(約1兆8500億円)を抜き、過去最高になる見込みだ。

■IPOで株主たちの要求にさらされたアップル

 15日の豪紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー(Australian Financial Review)のインタビューで、アップルの共同創業者ウォズニアック氏は、1980年に株式を公開した途端、アップルは株主からの厳しい要求にさらされるようになったと回想した。「突然、株主たちが会社に対して命令し始めた。回答を求め、自分たちが望んだようにことが進まないと腹を立てた」

 ウォズニアック氏は、フェイスブックのIPO後はザッカーバーグ氏も株主たちに翻弄されることになるだろうと懸念し、注意するようにと忠告した。一方で「彼には集中して前進し続ける強さがある。うまくいくよう願っているよ」と27歳の若きCEOにエールを送った。

 今回のフェイスブックのナスダック上場と同時に、ザッカーバーグ氏は大富豪にもなる。IPO後のザッカーバーグ氏の株式保有率は57.3%、時価総額にして150億ドル(約1兆2000円)を超える見込みだ。

■創造や構想よりも、収支に追われる身に?

 だが、フェイスブックの上場に反対する声もある。

 一部のアナリストは、ザッカーバーグ氏が今後、フェイスブックを現在の地位に押し上げた先見的な構想作りよりも、収支に集中しなければならなくなると危惧する。

 ウォズニアック氏も、自分にとってアップルで最も幸せだった日々は上場する前だったと言う。当時、ウォズニアック氏と故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏が共に下した数々の決断は、最高の製品を創造したいという純粋な動機に基づいたもので、株主を喜ばせようとしていたわけではないと語る。

 それでもウォズニアック氏は、自分もフェイスブック株を是非とも購入したいとオーストラリアン・フィナンシャル・レビューに告白した。「マーク・ザッカーバーグを尊敬しているからね」

 ウォズニアック氏は、ザッカーバーグ氏が「今でも若い理想主義者のように思考することができ、自分にとって何が是で何が非か、決断できる人物だ」と評価している。そしてザッカーバーグ氏ならば金銭に執着するのではなく、フェイスブックの開放性を高め、ユーザーの利益のために力を尽くしていくだろうと予測する。「ぼくのような人間には、一見して分かることだよ」(c)AFP