【4月4日 AFP】米グーグル(Google)が始めた新ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は、意志の強い若者さながらに確信を持って自らの道を切り開いている。

 グーグルのSNS「Google+」のブラッドリー・ホロウィッツ(Bradley Horowitz)副社長はAFPとのインタビューで、シリコンバレーでは誰もがとりつかれているフェイスブックとの競走という話題を軽くあしらい、未来を見据えたグーグルの全力の取り組みに焦点を合わせた。

「Google+に対する考え方は、すべての競争相手のあらゆる側面に対して競走可能なふりをしないことだ」とホロウィッツ氏は語る。「Google+のゴールは長期的で幅広い。これはグーグルと消費者の関係の改革であり、長い年月をかけて展開していくものだ」

 Google+を毎月利用する人は前年9月のサービス公開から増え続け、現在は1億人に上っている。毎日の利用者は5000万人だ。「その1億人はやがて5億人になり、その頃には気づけば自分の友達がみんなGoogle+にいるようになるだろう」とホロウィッツ氏は予測した。

■起爆力になるか、人気サービス「ハングアウツ」

 Google+で人気のサービスは「ハングアウツ(Hangouts)」。最大10人までがグループでビデオチャットできるサービスで、参加者を「フレンド」だけに制限することも、一般公開することも可能だ。

 視聴者数に制限のないハングアウツの「On Air」版には、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領やミュージシャンのウィル・アイ・アム(Will.i.am)、南アフリカのデズモンド・ツツ(Desmond Tutu)元大主教、さらにはチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世などが登場している。

 一方、ハングアウツは寝たきりの人たちに世界への仮想旅行を提供するためにも利用されている。

 カナダの写真家、ジョン・バターリル(John Butterill)氏は、スマートフォンとプロ用カメラ、ハングアウツを使って、病気療養中の友人を「画像の仮想散歩」に連れ出した。バターリル氏が自宅そばの雪山に入り、友人がカメラのレンズ越しに景色を見ながら、どこを撮影するか監督したという。

 この散歩の動画はGoogle+で大きな話題を呼んだ。「散歩から帰ると、動画がみんなに共有されてたよ。顎が外れるほど驚いたね」とバターリル氏はAFPに語った。「ぼくはただの手足。(ネットの)反対側にいる人がカメラを持っているのさ。単純にクールでしょ」

 仮想散歩の手法は単なる写真撮影にとどまらず、体の不自由な人がリアルタイムでミーティングや政治イベントに参加したり、契約の交渉に出席したりするのに使うことが可能だとバターリル氏は語る。「兵士が入院中の友人と一緒に仮想的にパブに行ってビールだって飲める」。バターリル氏は、病気の子どもたちをディズニーランド(Disneyland)に仮想的に連れ出す計画も持っている。

■サービスのハーモニー目指すグーグル

 グーグルは、検索エンジンや動画共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」とGoogle+を組み合わせて相乗効果を生み出そうとしている。「5年前のグーグルは、多くの魔法のプロダクトがあってもハーモニーを奏でていなかった」とホロウィッツ氏。

「サービス全体にもっと包括的なユーザー体験を創出しようとしている最中だ。魔法を損なわないように注意深く進めている」とホロウィッツ氏は語った。(c)AFP/Glenn Chapman