【2月10日 AFP】米連邦捜査局(FBI)は9日、米アップル(Apple)の共同創設者・故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏に関する191ページの調査記録を公開した。

 調査記録は1991年、当時のジョージ・H・W・ブッシュ(George H.W. Bush)大統領がジョブズ氏を大統領輸出委員会(PEC)の委員に指名する意向を示したことを受け、FBIがジョブズ氏の同僚、友人、家族、隣人の証言を基に身元調査を行ったもので、本人にも聞き取り調査を行っている。米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)が情報公開法(Freedom of Information Act)に基づいて情報開示を求めたことを受け、公開された。

 調査当時にすでにアップルを辞め、NeXTコンピュータ(NeXT Computer)を設立していたジョブズ氏は、FBIに対し、1970~74年の高校・大学時代にマリフアナやハシシュ、LSDを使っていたと告白したが、調査時点までの5年間は違法薬物を一切使っていないと述べた。ジョブズ氏は、ウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)氏が執筆した伝記『Steve Jobs(邦題:スティーブ・ジョブズ)』の中でも、薬物使用の事実を認めている。

 調査記録には、「ジョブズはアップルのCEOとしていくつかの訴訟を起こされたが、逮捕歴はない」「共産党員ではない」とも記している。

■「政府の責任ある地位に推薦したい」

 人柄については、複数の人が「意志が強く、頑固で、勤勉で、信念に突き動かされている」と答えた。「天才」だという声もあった。

「他人にはとても誠実で、単刀直入にものを言う。思ったことは何でも口に出して言う」という証言がある一方で、「自分の思い通りになっているうちは誠実」「目標を達成するためには事実を歪曲することも厭わなかった」と、誠実さに疑問を投げかける人もいた。

 また、東洋やインドの神秘主義・宗教に触れたことで、ジョブズ氏の哲学が変化したとの証言もあった。「この変化はジョブズ氏の私生活に好影響をもたらしたようだ。質実剛健を好むようになり、時には修道士のような存在にもなった」と、FBIは記している。

 人格について一部に否定的な意見もあったものの、証言者全員が、ジョブズ氏を政府の責任ある地位に推薦したいと述べた。(c)AFP