【1月26日 AFP】タブレットPCを使う際には、首の後部に痛みが生じないようテーブルの上に置き、しかも平らに寝かせるのではなく起こして使用するべきだと、米ハーバード大の研究チームが警告している。

 米ハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)で環境衛生を研究するジャック・ディナーリン(Jack Dennerlein)氏率いるチームは、米アップル(Apple)の「iPad2」とモトローラ・モビリティ(Motorola Mobility)の「Xoom(ズーム)」の2種類のタブレットPCを用意。タブレット使用経験が豊富な男性7人、女性8人の計15人に、タブレット・ユーザーに多いとされる4つの体勢で使用してもらい、その際の動きを動作分析システムで録画した。

 1つめの体勢は、タブレットPCを専用ケースから出して膝の上に置き、片手で保持しつつ、もう一方の手でタッチスクリーンを操作するもの。2つ目は、同じく膝の上にタブレットPCを置くが、ケースには入れたままにし、両手でスクリーンを操作する体勢。3つ目は、ケースに入れて机の上に置き、低めのアングルで手前に起こして両手で使う体勢。4つ目は、ケースに入れて机の上に置いたタブレットPCを、さらに角度をつけて起こし、何か作業をするのではなく映画などを観てもらった。

 この結果、ユーザーたちの頭と首の角度には、どんな体勢を取るか、どのタブレットPCを使うかによって大きな違いが見られた一方、デスクトップパソコンやノートパソコン使用時と比べて首の屈曲角度が急なことが確認された。自然な姿勢に近い角度だったのは、4番目の「テーブル映画鑑賞」状態だけだった。

 また、iPadのほうがXoomより屈曲角度が急だったが、これはケースのデザインの違いによるとみられる。

 研究チームでは「タブレットPCを使用する時には、膝よりもテーブルの上など高い場所に置き、スクリーン角度も平らな状態を避けて、ケースを使って立たせるほうがよい」と述べている。

 仕事や作業中の事故予防を扱う雑誌「Work」に掲載された今回の報告は、タブレットPCを長期間使用した場合の影響や、腕や手、手首など体の他の部位の位置との関係などには触れておらず、さらなる研究が必要だとしている。と同時に、既に多数のタブレットPCが市場に出回っているにもかかわらず、姿勢に関する安全ガイドラインはできていないと警告もしている。

 2009年に発表された別の研究は、コンピュータをじっと見続ける際には首屈筋群の痛みを引き起こさないよう、首を45度以上は傾けてはいけないと指摘されている。しかし人間工学上、車の座席やオフィスのデスク、電話などを誤った姿勢で長期間使うと、不快感ばかりか痛みを生じる設計例はこれまでに幾つもある。(c)AFP