【11月30日 AFP】内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」創設者のジュリアン・アサンジ(Julian Assange)容疑者は28日、香港に集まったジャーナリストに対し、自宅軟禁中の英国からインターネット中継を行い、主流メディアや米政府、銀行、さらにはインターネット自体を批判した。

 アサンジ容疑者は、27日に母国オーストラリアのウォークリー財団(Walkley Foundation)からジャーナリズムの最高賞を受賞したばかりだが、28日は英警察との定期的な面会の前に、香港で開かれた「世界ニュースサミット(News World Summit)」に40分ほどネット中継で登場した。

■米政府と大企業を批判

 司会からジャーナリズム界の一員であるかと問われたアサンジ氏は、いらだった様子で「もちろん私はジャーナリストだ」と返答し、自分についての文書記録を読めば明らかだと述べた上で、ジャーナリストかどうかをいつも人に問われる理由はたった1つしかない、それは米政府が自分を黙らせたいからだ、と批判した。

 また、アサンジ氏は、ウィキリークスが米国の機密文書である外交公電と軍事文書を公開したことに対する米司法省による捜査について触れ、「米国政府は私たちが法的に保護されることを望んでいない」と語り、ビザ(Visa)やマスターカード(Mastercard)などの大手クレジットカード会社が、米政府との裏取引で不法にウィキリークスの資金を凍結したと非難した。

■「ネットは監視装置になった」

 さらにアサンジ氏は、ジャーナリストと主流メディアが、本来は責任を追及しなければならない強大な秘密主義の組織と親しくしすぎていると批判し、「公開裁判で決定されなければならないことが、ワシントンの密室で決められている」と語った。

 また、インターネットに人びとが大量の個人情報を提供していることに触れ、ネットは「われわれの知りうる限り最も効果的な監視装置」になったと指摘。さらに「いまは透明性の時代では全くない。機密情報の量はこれまでになく多いのだ」と述べ、政府やその他の強大な組織には情報が吸い込まれていくが、そこからは情報が一切出てこないと警告した。「これこそがわれわれの大きな戦いだ。テクノロジーは与えもするが、奪いもする」

 スウェーデンで強姦と性的暴行を犯した疑いで英警察に逮捕されたアサンジ容疑者はスウェーデンへの身柄移送をめぐり英国で法廷闘争を続けている。現在はイングランドで自宅軟禁中だが、アサンジ氏は自らが中傷キャンペーンの犠牲者だと主張している。(c)AFP