情報中毒から回復しよう、スイス通信博物館のクリニック
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【11月19日 AFP】リビア内戦からギリシャの債務危機、国際通貨基金(IMF)専務理事の暴行疑惑まで連日、「ニュース中毒」さえも飽きることのない2011年だったが、情報過多ともいえる最近の状況は果たして健康によいのだろうか。
情報に飲み込まれていると感じている人たちのために、スイス・ベルン(Bern)の通信博物館で開催中の一風変わった展覧会の中で、あるクリニックが開かれている。
会場に入るとまず最初に暗い部屋があり、中の書棚に1万2000冊の本がぎっしりと詰まっている。現在、地球上で毎日アウトプットされている情報すべてを、地球に住む人間全員で処理しようとしたら、1人あたり毎日約1万2000冊の本を読まなければならない量に相当することを示した展示だ。
「基本的にコミュニケーションは重要で、喜びを与えてくれるものですが・・・」と同博物館のジャクリーン・ストラウス(Jacqueline Strauss)館長は語る。「食べ物だって、食べ過ぎたり、同じものばかり食べることは、やればできるとしても決していいことではない。健康でバランスのとれた食事をすることで楽しんだり、満足できたりするのです」
この企画に関わっているベルン大学(Bern University)の専門家らによると、人はもしも他に何もすることがなければ平均で1日350ページの本を読めるという。しかし世界中でインターネットやEメール、電話といった通信手段や、新聞、ラジオ、テレビといったメディアから発信されている情報量はあわせて73億5500万ギガバイト、本に換算したら何十億冊にもなる。
■情報過多による燃え尽き症候群も
ストラウス館長によると、情報と接触しすぎて、燃え尽き症候群のような症状を引き起こす場合もあるが、予防は可能だ。今回の展覧会で同館長が始めた「コミュニケーション・クリニック」では、情報過多の問題に関する一般の意識を高めることが狙いだ。
クリニック横のテレビからは女性の声が語りかけてくる。「郵便受けには山のような広告、Eメールの受信箱はスパムだらけ、ケーブルTVのチャンネル数は200チャンネル。もう、うんざりしてませんか? 疲れ切ってませんか?」
ここで「はい」と答えると「診察室」に招かれ、問診票に書き込み、次に進むべき部屋を診断される。
問題がなかった人は、緑の扉の部屋へ。黄色の扉は情報過多に軽く悩まされている人用で、メールの処理方法に関するカウンセリングが受けられる。
重症の場合には、ふたつの「集中治療」が待っている。ひとつは赤い扉の先にある「内なる光」という名のついた瞑想ルーム。黒いクッションの上に座って力を抜く。照明が赤いので思わず目をつむってしまう。
もうひとつはオレンジ色の扉の部屋で、「バランスのとれた処方箋」と書かれており、自然の中の散策を模したものだ。木の壁の間の小石が敷き詰められた廊下を歩きながら、来場者は石を拾い集めたり、石の上に何かを書いたり、流れてくるせせらぎや鳥のさえずりを聞く。
クリニックの終わりには、「コミュケーン」という名の「薬」が自動的に配られる。白い箱に入ったこの「コミュケーン」とは実は、この展覧会で公開されている情報過多ストレスを発散するためのヒントを集めた小冊子だ。
本当にニュース中毒で困っているという人には、フェイスブック(Facebook)上でもクリニックが開かれている。しかしストラウス館長いわく、忘れてはならないことは「みんな、犠牲者なだけではなく、加害者でもある。誰もが情報の送り手でもあるからです」
同展覧会の開催は2012年7月15日まで。(c)AFP/Agnes Pedrero
情報に飲み込まれていると感じている人たちのために、スイス・ベルン(Bern)の通信博物館で開催中の一風変わった展覧会の中で、あるクリニックが開かれている。
会場に入るとまず最初に暗い部屋があり、中の書棚に1万2000冊の本がぎっしりと詰まっている。現在、地球上で毎日アウトプットされている情報すべてを、地球に住む人間全員で処理しようとしたら、1人あたり毎日約1万2000冊の本を読まなければならない量に相当することを示した展示だ。
「基本的にコミュニケーションは重要で、喜びを与えてくれるものですが・・・」と同博物館のジャクリーン・ストラウス(Jacqueline Strauss)館長は語る。「食べ物だって、食べ過ぎたり、同じものばかり食べることは、やればできるとしても決していいことではない。健康でバランスのとれた食事をすることで楽しんだり、満足できたりするのです」
この企画に関わっているベルン大学(Bern University)の専門家らによると、人はもしも他に何もすることがなければ平均で1日350ページの本を読めるという。しかし世界中でインターネットやEメール、電話といった通信手段や、新聞、ラジオ、テレビといったメディアから発信されている情報量はあわせて73億5500万ギガバイト、本に換算したら何十億冊にもなる。
■情報過多による燃え尽き症候群も
ストラウス館長によると、情報と接触しすぎて、燃え尽き症候群のような症状を引き起こす場合もあるが、予防は可能だ。今回の展覧会で同館長が始めた「コミュニケーション・クリニック」では、情報過多の問題に関する一般の意識を高めることが狙いだ。
クリニック横のテレビからは女性の声が語りかけてくる。「郵便受けには山のような広告、Eメールの受信箱はスパムだらけ、ケーブルTVのチャンネル数は200チャンネル。もう、うんざりしてませんか? 疲れ切ってませんか?」
ここで「はい」と答えると「診察室」に招かれ、問診票に書き込み、次に進むべき部屋を診断される。
問題がなかった人は、緑の扉の部屋へ。黄色の扉は情報過多に軽く悩まされている人用で、メールの処理方法に関するカウンセリングが受けられる。
重症の場合には、ふたつの「集中治療」が待っている。ひとつは赤い扉の先にある「内なる光」という名のついた瞑想ルーム。黒いクッションの上に座って力を抜く。照明が赤いので思わず目をつむってしまう。
もうひとつはオレンジ色の扉の部屋で、「バランスのとれた処方箋」と書かれており、自然の中の散策を模したものだ。木の壁の間の小石が敷き詰められた廊下を歩きながら、来場者は石を拾い集めたり、石の上に何かを書いたり、流れてくるせせらぎや鳥のさえずりを聞く。
クリニックの終わりには、「コミュケーン」という名の「薬」が自動的に配られる。白い箱に入ったこの「コミュケーン」とは実は、この展覧会で公開されている情報過多ストレスを発散するためのヒントを集めた小冊子だ。
本当にニュース中毒で困っているという人には、フェイスブック(Facebook)上でもクリニックが開かれている。しかしストラウス館長いわく、忘れてはならないことは「みんな、犠牲者なだけではなく、加害者でもある。誰もが情報の送り手でもあるからです」
同展覧会の開催は2012年7月15日まで。(c)AFP/Agnes Pedrero