【11月7日 AFP】大洪水に見舞われているタイで、情報源としてソーシャル・メディアを利用する国民が過去に例を見ない勢いで急増している。

 米SNSフェイスブック(Facebook)には氾濫する運河の写真が投稿され、マイクロブログのツイッター(Twitter)には逃亡したヘビへの注意が書き込まれる。動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)には、避難の際に持っていくべき荷物を説明した動画がアップロードされ、インターネット上には洪水に関する最新情報があふれている。

 タイでツイッター商業権を持つMcFivaによると、同国のツイッター・ユーザーはこの2か月で20%増加した。特に、9月に60万人だったユーザー数は10月に72万人に増えたが、この増加分は洪水被害と直接関連したものとみられるという。

 既に3か月近くも洪水被害に悩まされているタイでは、危険地域や対処をめぐって中央政府と地元当局の発表が食い違うなど、情報の混乱が続いている。当局発表や既存メディアの報道では分からないリアルタイムで実用的な情報を求め、多くのタイ人がSNSへの一歩を踏み出した。

「いま現在、政府は市民が求めている情報を提供できていない」と、ツイッターのフォロワー数6万8000人を超える元議員でニュースキャスターのSomkiat Onwimon氏は言う。「大勢の人が自身でブログを立ち上げたり、ツイッターで情報交換を始めたのは当然の成り行きだ」

 だが、その一方で、SNSに蔓延する誤報も問題となっている。

 評論家らは、SNSを使った洪水の危険に関する注意情報や献血の呼びかけなどは目的を果たしているが、未確認情報が未編集のまま絶え間なく流されている現状は、混乱に拍車をかける恐れもあると指摘する。また、ツイッター上での情報交換が、ユーザー同士の泥仕合に発展する事例も起きている。(c)AFP/Michelle Fitzpatrick

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