【9月20日 AFP】米グーグル(Google)は19日、スマートフォン(多機能携帯電話)による決済サービス「グーグル・ウォレット(Google Wallet)」を一般向けに開始した。

 プログラムに参加する店舗では、米携帯キャリアのスプリント・ネクステル(Sprint Nextel)の回線を使用するスマートフォン「Nexus S 4G」でタップする(軽く触れる)だけで、決済をすることができる。

 グーグルの決済部門のオサマ・ベディエ(Osama Bedier)副社長は、「グーグル・ウォレットでは携帯電話とNFC(近距離無線通信技術)を使ってタップ、支払い、保存ができる」と説明した。

 グーグル・ウォレットは、スマートフォンに内蔵されたNFCチップを使って、シティ・マスターカード(Citi MasterCard)の非接触型決済サービス「PayPass」端末を設置した店舗での「タップで支払い」を実現している。

 グーグル・ウォレットのソフトウエアは、アップデートの形式でNexus S 4Gに送信される。「このアプリをインストールするだけで、世界の30万か所以上にあるPayPassを設置した店舗などで使えるようになる」と、電子端末情報サイト「gdgt.com」の共同創設者、ライアン・ブロック(Ryan Block)氏はマスターカード(MasterCard)ウェブサイトのブログに寄稿した記事で説明する。

 購入にはグーグルのプリペイドカードを使用することもできる。グーグル・ウォレットではギフトカードの購入や、ディスカウントやクーポン券などを利用することも可能で、グーグルの提供するクーポンサービス「グーグル・オファーズ(Google Offers)」も使えるという。

 グーグルとスプリントは、金融パートナーのシティバンク(Citibank)やマスターカードとともに、5月からグーグル・ウォレットの試験運用を行っていた。

■クレジット各社も参入へ、「財布にさよならを」

 現在グーグル・ウォレットを利用できるのはNexus S 4Gだけだが、将来的には多くのアンドロイド(Android)搭載端末で使えるようになる。

 ベディエ氏によれば、クレジットカード大手のビザ(Visa)やディスカバー(Discover)、アメリカン・エキスプレス(American Express)は19日にそれぞれのNFCの仕様をグーグルに提供したため、将来のバージョンでは各社の決済も利用できるようになるかもしれない。

 ベディエ氏は「われわれの目標は、あなたが持っている全部のカードをグーグル・ウォレットに追加できるようにすること。そうすれば、あなたは特大サイズの実物の財布に別れを告げることができるかもしれない」と述べた。

■クレジットカードと同じくらい安全

 NFC技術はフランスなど一部の国で導入や試験が進んでいるが、米国で本格的に導入されるのは今回が初めてになる。

 グーグル・ウォレットは、基本的にクレジットカードのコピーがスマートフォンに保存されたようなもので、グーグルのサーバー側には個人情報は保管されない。「クレジットカードとその使い方を知っている人であれば、その安全性がわかるだろう」と、ベディエ氏。

「ロックもできるし、使用をやめることもできる。遠隔操作してグーグル・ウォレットからカードを削除することもできる」とベディエ氏は述べ、「それにチップを改ざんしようとすれば、基本的にチップは自己破壊する」と付け加えた。

 グーグルは、グーグル・ウォレットのためにオンライン決済サービスに関する企業秘密を盗んだとして、インターネット競売のイーベイ(eBay)とオンライン決済サービス「ペイパル(PayPal)」から訴訟を起こされている。(c)AFP/Glenn Chapman

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