【9月13日 AFP】米IBMのスーパーコンピューター「ワトソン(Watson)」が来年初めにも医師の診断を補助することになった。IBMと米医療保険会社ウェルポイント(WellPoint)が12日、初のワトソン用商用アプリケーションを開発することで合意したと発表した。

 IBMの創業者トーマス・ワトソン(Thomas Watson)にちなんで名付けられた「ワトソン」は、2億ページ分のデータを素早く参照して数秒間で正確な反応を返す。ワトソンは2月、米人気クイズテレビ番組「ジョパディ!(Jeopardy!)」で人間のチャンピオン2人を破って話題になった。

 IBMとウェルポイントは、「ワトソンが持つ人間の言葉の意味や文脈を解析する能力や、大量の情報を瞬間的に処理して患者の状態に応じた選択肢を提供する能力は、医師や看護師が診断を下し、患者にとって最良の治療法を判断する際に助けになる」と説明した。例えば、患者の病歴や最近の検査結果を医師がワトソンに入力すると、ワトソンは推奨される治療プロトコルや、関係のある最新の研究論文などを医師に提供するといった具合だ。

 両社によれば、がん、糖尿病、心臓や腎臓の慢性疾患などでワトソンが役に立つ可能性があるという。ウェルポイントは、医師グループの協力を得て、2012年初めにもワトソンの試験導入を開始したいと話している。 (c)AFP/Chris Lefkow

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